OECD『緑の成長宣言』:環境と経済の両立を目指して
地球環境を知りたい
先生、「緑の成長宣言」って、何だか環境に良さそうな名前ですが、具体的にどんな内容なのでしょうか?
地球環境研究家
良い質問ですね!「緑の成長宣言」は、環境と経済の両立を目指した宣言なんです。 2008年の世界的な不況への対応と、地球温暖化対策のために作られました。
地球環境を知りたい
環境と経済の両立…ですか? どうやって両立させるのでしょうか?
地球環境研究家
簡単に言うと、環境・エネルギー分野に重点的に投資することで、雇用を増やして景気を回復させつつ、地球温暖化対策も進めようという考え方です。例えば、太陽光発電などの再生可能エネルギーの開発や省エネ技術の開発などが挙げられます。
緑の成長宣言とは。
2009年6月、経済協力開発機構(OECD)は閣僚理事会において「緑の成長宣言」を採択しました。これは、地球環境とエネルギーに関する宣言であり、環境・エネルギー分野に重点的に投資することで、景気回復と雇用創出を図ることを目指したものです。世界的な不況が2008年から続いていたことに加え、2009年12月には国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)の開催が予定されており、これらの課題に対応し貢献することを目的としていました。
世界的不況と環境問題への同時対応
2008年のリーマンショックに端を発した世界的不況は、各国経済に大きな打撃を与えました。そして、この未曾有の危機を乗り越えるべく、各国は経済対策に奔走することとなります。しかし、OECDは、この経済危機を単に乗り越えるだけでは不十分だと考えました。 世界は同時に、気候変動や生物多様性の損失といった深刻な環境問題にも直面しており、経済回復と環境問題への取り組みを両立させる必要があったのです。そこでOECDは、経済成長と環境保全を両立させる「グリーン成長」を提唱し、2009年に「OECD緑の成長宣言」を採択しました。これは、環境問題への対応を経済成長の制約と捉えるのではなく、新たな成長の源泉と捉え、持続可能な社会を構築しようという、国際社会共通の目標を示すものでした。
『緑の成長』とは何か?
「緑の成長」とは、環境保護と経済成長を両立させるという考え方です。従来の経済活動は、大量生産・大量消費・大量廃棄によって環境負荷を高め、地球温暖化や資源枯渇などの問題を引き起こしてきました。 「緑の成長」は、環境問題を経済成長の阻害要因と捉えるのではなく、むしろ新たな成長の機会と捉え、イノベーションや技術開発を通じて、環境と経済の好循環を生み出すことを目指しています。具体的には、再生可能エネルギーの導入、省エネルギー技術の開発、循環型経済への移行などが挙げられます。
OECDの提言内容
OECDは、『緑の成長宣言』の中で、環境保護と経済成長の両立を実現するための具体的な提言を行っています。 まず、環境に悪影響を与える活動に対する課税を強化し、その分環境に優しい技術開発やインフラ整備への投資を促進するよう訴えています。具体的には、炭素税や排出量取引制度の導入、環境技術への補助金支給などが挙げられます。 また、環境規制の強化も提言しており、企業に対して環境負荷の低い製品やサービスの開発・提供を促すことを目指しています。さらに、環境問題に関する国際協調の重要性を強調し、各国が協力して地球環境の保全に取り組むべきだとしています。
COP15への貢献と課題
2022年12月に開催された生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)では、2030年までの新たな国際目標「昆明・モントリオール生物多様性枠組み」が採択され、世界は生物多様性保全に向けた大きな一歩を踏み出しました。この枠組みの達成に大きく貢献しうるものとして、経済協力開発機構(OECD)が2011年に採択した「緑の成長宣言」が改めて注目されています。
OECDは、環境と経済の両立を図る「緑の成長」を提唱し、その実現に向けた具体的な政策提言を行っています。中でも「緑の成長宣言」は、経済成長と環境保全の双方を達成するための包括的な戦略を示しており、「昆明・モントリオール生物多様性枠組み」で掲げられた目標達成に向けた道筋を示すものとして期待されています。
具体的には、「緑の成長宣言」は、生物多様性の価値を経済活動に取り込むための政策、環境に配慮した技術革新の促進、持続可能な消費と生産のパターンの転換など、COP15の主要テーマと合致する項目を多数含んでいます。
しかし、課題も残されています。OECD加盟国は経済的に豊かな国が多い一方で、途上国への資金援助や技術協力が「昆明・モントリオール生物多様性枠組み」の達成には不可欠です。OECDは、加盟国に対して、途上国への支援強化を促し、具体的な行動を後押しする役割が求められています。
「緑の成長宣言」は、COP15の目標達成に向けた重要なツールとなりえます。OECDは、その潜在力を最大限に引き出し、環境と経済の両立を実現する持続可能な社会の構築に貢献していくことが期待されています。
持続可能な社会に向けた取り組み
経済成長と環境保全は、相反するものではなく、両立が可能であるという考えのもと、OECDは『緑の成長宣言』を採択しました。これは、環境問題に取り組みながら経済成長を実現し、持続可能な社会を構築することを目指すものです。
具体的には、再生可能エネルギーの利用促進、省エネルギー技術の開発、環境汚染の削減など、さまざまな取り組みを推進しています。これらの取り組みを通じて、環境負荷を低減しながら経済成長を促し、将来世代に美しい地球環境を引き継ぐことを目指しています。