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原子力エネルギー

知られざる放射性廃棄物処理の現実

原子力発電所や医療現場など、様々な場所で利用される放射線。その恩恵を受ける一方で、避けて通れないのが放射性廃棄物の問題です。これは、放射性物質を含み、もはや使用済みの物質のことを指します。例えば、原子力発電所では、核燃料として使用されたウラン燃料は、使用後も放射線を出し続けるため、適切に処理・処分する必要があります。放射性廃棄物は、その放射能の強さや性質によって分類され、それぞれに適した処理・処分方法が求められます。
地球環境を守るために

「愛知目標」後の世界:生物多様性と私たち

2010年は、生物多様性にとって重要な年でした。この年は、国連が定めた「国際生物多様性年」であると同時に、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が名古屋で開催された年でもあります。このCOP10において、2011年から2020年までの生物多様性戦略計画「愛知目標」が採択されました。 愛知目標が採択される以前、2002年にオランダのハーグで開催された生物多様性条約COP6では、2010年までに生物多様性の損失速度を顕著に減少させるという「2010年目標」が設定されていました。しかし、世界は目標達成に十分な進展を見せることができませんでした。 愛知目標は、2010年目標の反省を踏まえ、より具体的かつ行動指向の目標として設定されました。世界共通の20の目標と、それぞれの目標を達成するための具体的な行動目標が盛り込まれており、各国は、愛知目標の達成に向けて、国家戦略や行動計画を策定し、取り組みを進めてきました。
地球環境を守るために

ダイオキシン:身近に潜む脅威とその影響

ダイオキシンは、極めて毒性の強い化学物質として知られており、環境や人体への影響が懸念されています。ダイオキシンは、実際には数百種類にも及ぶ化合物の総称であり、「ポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン」(PCDDs)や「ポリ塩化ジベンゾフラン」(PCDFs)などが含まれます。 これらの物質は、自然界にはほとんど存在せず、主に人間の活動に伴って発生します。主な発生源としては、ゴミの焼却が挙げられます。特に、プラスチックや塩化ビニルなどの塩素を含む物質が焼却される際に、ダイオキシンが発生しやすいと言われています。 また、自動車の排ガスや、一部の工業プロセスなどからも、ダイオキシンが発生することがあります。ダイオキシンは、大気中を漂って広範囲に拡散し、土壌や水に蓄積する性質を持つため、食物連鎖を通じて、私たちの体内にも取り込まれてしまう可能性があります。
地球環境を守るために

北東アジアの未来を拓く環境協力

北東アジア地域は、経済発展の著しい地域である一方、深刻化する環境問題が共通の課題となっています。その解決には、国境を越えた広域的な連携体制の構築と、地域レベルでの積極的な取り組みが不可欠です。 こうした背景の下、1996年、北東アジア地域の地方自治体が中心となり、環境分野での地域協力の促進を目的として設立されたのが「北東アジア自治体連合」です。 この連合は、日本、中国、韓国、ロシア、モンゴル、北朝鮮の6カ国から、地方自治体や関連機関など約160団体が加盟し、国際会議や事業の実施を通じて、環境問題解決に向けた国際的なネットワークを築いています。
地球環境を守るために

地球を守る政策ミックスのススメ

地球温暖化をはじめとする環境問題は、年々深刻化しています。 気温上昇は異常気象を引き起こし、私たちの生活や生態系に大きな影響を与えています。海面上昇は陸地を蝕み、多くの動植物の絶滅を招く可能性も秘めています。 このままでは、私たちの住む地球は取り返しのつかない状況に陥ってしまうかもしれません。 未来のために、そして私たちの子孫のために、今すぐ行動を起こさなければならないのです。
地球環境を守るために

地球を救う!保全生物学のススメ

豊かな生物多様性、それは地球上の生き物たちが織りなす、複雑で美しい tapestry。しかし、この tapestry は今、環境破壊や気候変動といった人間の活動によって、綻びかけています。私たち人間も、この tapestry の一部であることを忘れてはなりません。 食料や水、空気、そして 気候の調整まで、私たちの生活は生物多様性に支えられています。まるで、目には見えない糸で結ばれているように、私たちは他の生物たちと深く関わっているのです。もしも、ある生物種が絶滅してしまったら?それは tapestry から一本の糸が切れるように、私たちの生活にも影響を及ぼす可能性を秘めているのです。
地球環境を守るために

北極圏: 地球の未来を握る極地

地球の最北端に位置する北極圏は、その白銀の世界とは裏腹に、地球温暖化の影響を最も顕著に受けている地域の一つです。温暖化の影響は、海氷の減少、永久凍土の融解、海面上昇など、多岐にわたる形で現れており、地球全体に影響を及ぼしつつあります。 特に、海氷の減少は深刻です。海氷は太陽光を反射することで地球の気温を調整する役割を担っていますが、その面積は年々減少を続けています。これは、北極圏の生態系を破壊するだけでなく、地球全体の気候変動を加速させる要因となりえます。さらに、永久凍土の融解も深刻な問題です。永久凍土には、太古から閉じ込められた大量のメタンガスが眠っており、融解に伴い大気中に放出されます。メタンガスは二酸化炭素よりも温室効果が高いため、地球温暖化をさらに加速させる可能性が懸念されています。このように、北極圏の現状は、地球全体の未来を左右する重要な問題と言えるでしょう。
地球温暖化について

地球の未来を映す北極:その現状と課題

地球温暖化の影響が最も顕著に現れる場所の一つ、北極。氷で覆われたその白い大地は、温暖化によって想像を絶するスピードで変化を遂げています。特に深刻なのは、海氷面積の減少です。夏場の海氷面積は、過去数十年の間に劇的に縮小し、このままでは近い将来、夏の北極海から氷が姿を消してしまう可能性も示唆されています。これは、北極圏の生態系に壊滅的な打撃を与えるだけでなく、地球全体にとっても気候変動を加速させる要因となりかねません。
地球環境を守るために

EU包装廃棄物指令:持続可能な社会への道

EUでは、環境保護と持続可能な社会の実現に向けて、様々な取り組みが行われています。その中でも、特に注目されているのが「包装廃棄物指令」です。 この指令は、商品包装の使用量削減、リサイクルの促進、そして環境への負荷を低減することを目的としています。具体的には、包装材の設計から製造、使用、そして廃棄に至るまでのライフサイクル全体を考慮し、環境への影響を最小限に抑えるための具体的な目標値や対策が定められています。
地球環境を守るために

生物多様性を守る!保護地域作業プログラムとは?

生物多様性条約は、地球上の多様な生物とそのつながりを保全することを目的とした国際条約です。1992年に採択され、日本も締約国となっています。この条約では、2010年までに生物多様性の損失速度を顕著に減少させるという目標、「2010年目標」が掲げられました。
地球温暖化について

ポスト京都議定書:地球の未来をかけた挑戦

1997年に採択された京都議定書は、世界で初めて法的拘束力を持つ温室効果ガス排出削減目標を定めた国際条約として、歴史的な転換点となりました。これにより、先進国全体で温室効果ガスの排出量削減に取り組む枠組みが構築され、地球温暖化対策は大きく前進しました。 京都議定書に基づいて、日本を含む多くの国が排出量取引制度などの新たな政策を導入し、省エネルギー技術の開発や普及が促進されました。また、途上国への資金援助や技術協力も積極的に行われ、地球温暖化対策の基盤が築かれました。 しかし、京都議定書にはいくつかの課題も残されました。例えば、世界最大の温室効果ガス排出国であるアメリカが離脱したため、実効性に疑問符がつきました。また、中国やインドなどの新興国が経済成長に伴い排出量を増加させている一方で、これらの国々に排出削減義務が課せられていなかったことも課題として挙げられます。 これらの成果と課題を踏まえ、京都議定書後の枠組みでは、より多くの国が参加し、公平かつ実効性の高い排出削減目標を設定することが求められています。地球温暖化という地球規模の課題に立ち向かうためには、国際社会全体の協力が不可欠です。
地球温暖化について

地球温暖化のカギ?「放射強制力」を解説

地球温暖化は、地球の気温が上昇する現象ですが、その原因となる要素は様々です。太陽活動の変化や火山噴火なども気温に影響を与えますが、特に注目されているのが人間の活動によって増加した大気中の温室効果ガスです。では、具体的にどのくらい気温に影響を与えているのでしょうか?それを知るための重要な指標となるのが「放射強制力」です。
地球温暖化について

地球の未来: 引き返し不能点を超えないために

地球温暖化や気候変動の影響が深刻化する中、私たち人類は、「ポイントオブノーリターン」という恐ろしい言葉と向き合わなければなりません。これは、気候変動が不可逆的な変化を遂げ、もはや人間の手には負えなくなる転換点を指します。 ポイントオブノーリターンを超えてしまうと、温暖化の加速、海面上昇の加速、異常気象の激化など、地球環境は加速度的に悪化していきます。その結果、私たちの生活基盤は崩壊し、人類を含む多くの生物種にとって生存が困難な状況に陥る可能性も否定できません。 ポイントは、この転換点がいつ訪れるのか、正確にはわからないということです。科学者たちは様々な予測を行っていますが、私たち人類に残された時間はそう長くはないかもしれません。一刻も早く危機意識を持ち、持続可能な社会の実現に向けて具体的な行動を起こすことが求められています。
地球環境を守るために

北極圏を覆う謎の煙幕「北極かすみ」

澄み切った青空が広がるはずの北極圏で、春先に空を霞ませる現象が発生することがあります。これが「北極かすみ(Arctic haze)」と呼ばれる現象です。まるで遠くで焚き火が行われているかのように、視界は白く濁り、太陽の光も遮られてしまうことがあります。
地球環境を守るために

地球を救う一手!環境ボランティアのススメ

「環境問題」は、ニュースなどでよく耳にするけれど、自分には何かできるか不安…そう感じている方もいるかもしれません。でも大丈夫!環境ボランティアは、特別な知識やスキルがなくても、誰もが気軽に社会貢献できる第一歩です。 環境ボランティアと一言で言っても、その活動内容は多岐に渡ります。例えば、身近な公園の清掃活動や、地域の緑化運動など、自分のできる範囲で、無理なく参加できる活動がたくさんあります。
地球温暖化について

地球温暖化対策の課題:ホットエアとは?

1997年に採択された京都議定書は、先進国に対して法的拘束力のある温室効果ガス排出削減目標を課した、国際的な枠組みでした。しかし、この議定書は、「ホットエア」と呼ばれる問題を抱えていました。ホットエアとは、実際には排出削減努力をせずに、目標達成を可能にする余剰排出枠のことです。 ソ連崩壊後の経済活動の停滞により、ロシアなど一部の国では、実際に排出量が基準年よりも大幅に減少しました。これが、排出枠の余剰、すなわち「ホットエア」を生み出したのです。 このホットエアは、排出削減義務を負う他の先進国に売却することが可能でした。結果として、実際に排出量を削減する努力をせずに、排出枠の購入によって目標達成が可能になるという事態が生じました。これは、京都議定書の目標達成を容易にする一方で、実質的な排出削減効果を薄める要因ともなりました。
地球温暖化について

環境目標達成の抜け道?『ボローイング』の光と影

「ボローイング」とは、簡単に言うと、企業や国が互いの排出枠を取引する仕組みです。 ある国が、自国の排出削減目標を達成し、さらに余裕がある場合、その超過分を排出枠として他の国や企業に売却することができるのです。 一方、目標達成が難しい国や企業は、この排出枠を購入することで、自国の排出量を実際には減らさずに目標を達成することが可能となります。
原子力エネルギー

放射性廃棄物:未来への課題

放射性廃棄物とは、原子力発電所や医療機関、研究施設などから発生する、放射能を持つ廃棄物のことを指します。これらの廃棄物は、ウランなどの放射性物質が核分裂を起こした後、あるいは医療用の放射性同位元素を使用した後に発生します。放射性廃棄物は、その放射能の強さや種類、半減期の長さによって低レベル、中レベル、高レベルに分類され、それぞれ適切な方法で処理・処分する必要があります。それぞれのレベルと具体的な例としては、低レベル廃棄物は放射能の弱い紙くずや作業服、中レベル廃棄物は使用済みの樹脂やフィルター、高レベル廃棄物は使用済み核燃料などが挙げられます。放射性廃棄物は、適切に管理されなければ環境や人体に深刻な影響を与える可能性があるため、その処理・処分は極めて重要な課題となっています。
リサイクルについて

ドイツの包装廃棄物規制:持続可能な社会への挑戦

世界的に、そしてドイツにおいても、包装廃棄物の量は増加の一途をたどっています。経済活動のグローバル化やEコマースの普及に伴い、製品の輸送や配送の機会が増加し、それに伴って包装材の使用量も増えていることが主な要因です。特にプラスチック製の包装材は、その軽量さや加工のしやすさ、低コストという利点がある一方で、自然分解されにくく環境中に長く残留してしまうという問題を抱えています。このような状況を受け、ドイツでは環境保護意識の高まりも相まって、包装廃棄物削減への取り組みが積極的に進められています。
地球環境を守るために

「ボン条約」:渡り鳥を守る国際協定

「ボン条約」とは、正式名称を「移動性野生動物種の保全に関する条約」といい、国境を越えて移動する動物を保護するための国際的な取り決めです。1979年6月23日にドイツのボンで採択されたことから、この名で呼ばれています。 この条約は、渡り鳥、海洋生物、陸上動物など、様々な種類の移動性動物を対象としており、これらの動物とその生息地を保全するために、国際協力の枠組みを提供しています。具体的には、生息地の保護や劣化の防止、狩猟や捕獲の規制、調査研究やモニタリングの実施などが、条約に基づく活動として挙げられます。 日本は、1982年にボン条約に加盟しており、国内法を整備するなどして条約の履行に努めています。近年、地球温暖化や環境汚染の影響で、多くの移動性動物が絶滅の危機に瀕しており、ボン条約の役割はますます重要になっています。
地球温暖化について

ボン合意:地球環境への道筋

地球温暖化は、私たちの社会や経済、そして地球全体にとって深刻な脅威となっています。その影響は、極端な気象現象の増加、海面上昇、生態系の破壊など、多岐にわたります。この地球規模の課題に対処するために、国際社会は協力して取り組む必要があります。 2015年に採択されたパリ協定は、気候変動問題に対する国際的な枠組みとして重要な一歩となりました。パリ協定では、世界の平均気温上昇を産業革命以前と比較して2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力を追求することが目標として掲げられています。この目標を達成するため、各国は温室効果ガスの排出削減目標を提出しています。 ボン合意は、パリ協定の実施ルールを具体的にするための重要なステップとなります。ボン合意では、透明性の高い枠組みを構築し、各国の排出削減の進捗状況を測定・報告・検証することが合意されました。また、途上国への資金援助についても議論が行われ、先進国は2020年までに年間1000億ドルの資金を拠出することを約束しました。 気候変動問題は、私たちの世代だけでなく、将来世代にとっても重要な課題です。国際社会が一丸となって取り組み、地球環境を守っていくことが求められています。
地球環境を守るために

保護地域開発:共存への挑戦

豊かな自然を抱える地域は、古くから人々の生活と密接に結びつき、独自の文化や伝統を育んできました。しかし、近代化の波とともに、これらの地域は経済発展の要請と自然保護の間で、厳しい選択を迫られることになります。開発による経済効果と、自然破壊や生態系への影響。その狭間で揺れ動く地域の姿は、まさに「保全と発展の軋轢」を体現していました。かつて行われていた開発手法は、短期的な利益を重視するあまり、自然環境への負荷が大きくなってしまう傾向にありました。その結果、失われた自然は計り知れず、今なおその傷跡が残る地域も少なくありません。この苦い経験を通して、私たちは持続可能な社会の実現には、自然との共存が不可欠であることを学びました。
地球環境を守るために

北東アジア環境協力の道筋:地域環境プログラムとは

北東アジア地域は、著しい経済成長の一方で、深刻化する環境問題に直面しています。 大気汚染、水質汚濁、生物多様性の減少など、国境を越えた環境問題が深刻化し、地域全体で協力して解決に取り組む必要性が高まっていました。 このような背景から、1990年代初頭には、北東アジアの国々が環境問題解決に向けて協力するための枠組みが模索され始めました。その結果、1993年には、国連環境計画(UNEP)の支援の下、「北東アジア地域環境プログラム」が誕生しました。 このプログラムは、地域共通の環境問題に対処するための、関係国による協力の枠組みを提供することを目的としています。具体的には、大気汚染、水質汚濁、生物多様性の減少など、共通の課題に取り組むための共同研究や技術協力、情報共有などを推進しています。
リサイクルについて

資源の宝庫? 知られざるボトムアッシュの可能性

ボトムアッシュとは、ごみ焼却施設で発生する燃え殻のことです。ごみを焼却すると、当然ながら燃え残りが発生しますよね。この燃え残りがボトムアッシュと呼ばれ、実は様々な可能性を秘めているのです。