食品ロス削減へ！フランスの挑戦『食品廃棄禁止法』とは？

食品ロス削減へ！フランスの挑戦『食品廃棄禁止法』とは？

深刻化する食品ロス問題：地球環境への影響

世界中で問題視されている食品ロスは、地球環境にも深刻な影響を与えています。 まだ食べられるにも関わらず廃棄される食品は、その生産過程で膨大な量の水、エネルギー、土地を使用しているため、環境への負荷が大きいのです。例えば、日本では年間2,550万トンもの食品ロスが発生していますが、これは世界で飢餓に苦しむ人々に向けた食糧援助量の約1.8倍に相当します。 食品ロスを減らすことは、食料不足の解決だけでなく、地球環境の保護にも繋がる重要な課題と言えるでしょう。

フランスの挑戦：『食品廃棄禁止法』の内容とは

フランスは、2016年2月に施行された『食品廃棄禁止法』を掲げ、食品ロスの削減に積極的に取り組んでいます。これは、世界で初めての試みとして注目されています。この法律では、まだ食べられるにも関わらず廃棄される食品を減らすことを目的として、様々な対策が盛り込まれています。
具体的には、スーパーマーケットなど、一定規模以上の小売店に対し、販売期限が切れた食品を廃棄することを禁止しています。その代わりに、食品を慈善団体に寄付したり、家畜の飼料にしたり、堆肥化するなど、食品を有効活用することが義務付けられています。
また、学校給食においても食品ロスの削減が推進されており、子供たちに食品の大切さを教える食育なども積極的に行われています。

食品廃棄禁止法の成果：廃棄率の大幅な減少

2016年に施行されたフランスの食品廃棄禁止法は、食品ロスの削減に目覚ましい成果を上げています。 法律施行前のフランスでは、年間約700万トンの食品が廃棄されており、そのうち約70万トンがまだ食べられる状態でした。しかし、法律施行後の2019年には、スーパーマーケットにおける食品廃棄量は約40％も減少したというデータが出ています。これは、食品廃棄禁止法によって、企業や消費者の意識が大きく変化したことを示しています。具体的には、スーパーマーケットは売れ残った食品を慈善団体に寄付することが義務付けられ、違反した場合には罰金が科せられるようになりました。また、消費者に対しても、食品ロス削減の重要性に関する啓蒙活動が積極的に行われています。

企業の取り組み：創造的な食品ロス削減対策

フランスでは、『食品廃棄禁止法』の施行により、企業は食品ロス削減に積極的に取り組んでいます。スーパーマーケットでは、賞味期限が近い商品を値引き販売したり、フードバンクに寄付するなど、さまざまな取り組みが行われています。

さらに、近年注目されているのが、規格外野菜や売れ残り食材を活用した新しいビジネスモデルです。例えば、規格外野菜を使ったスープやピクルスを製造・販売する企業や、レストランの売れ残り食材をアプリで販売するサービスなどが登場しています。これらの取り組みは、食品ロス削減だけでなく、新たな雇用創出や地域経済の活性化にも貢献しています。

日本の現状と課題：食品廃棄禁止法から学ぶこと

世界中で問題視されている食品ロス。その削減に向け、フランスでは2016年に世界初の「食品廃棄禁止法」が施行されました。この法律は、まだ食べられる食品を廃棄することを禁じ、違反企業には罰金を科すなど、厳しい姿勢で食品ロス削減に取り組んでいます。

日本では、まだフランスのような食品廃棄を法律で禁止する制度はありません。しかし、食品ロス削減推進法に基づき、国民運動として「食品ロス削減国民運動」を展開するなど、さまざまな取り組みが行われています。

日本はフランスと比べて、食品関連事業者における食品ロスの割合が高いというデータもあります。フランスの「食品廃棄禁止法」を参考に、事業者へのさらなる意識改革や、消費者への啓発活動の強化などが求められます。

また、日本独自の課題として、賞味期限表示の厳格化が挙げられます。賞味期限の短い商品を大量に廃棄せざるを得ない現状を改善するために、賞味期限表示の仕組みを見直す動きも出てきています。

フランスの「食品廃棄禁止法」は、日本の食品ロス削減に向けた取り組みを大きく前進させるヒントを与えてくれるでしょう。