廃棄物処理

地球環境を守るために

英国の環境保護法:30年の歩みと未来

1990年代初頭、英国は深刻化する環境問題に直面していました。産業革命以降、急速な経済成長を遂げた一方で、大気汚染や水質汚濁、野生生物の減少といった問題が顕在化していたのです。これらの問題に対処するため、包括的な環境法の制定が求められました。 1990年に制定された環境保護法は、英国における環境法の転換点となりました。この法律は、従来の個別の問題への対処ではなく、環境問題全体を統合的に捉え、持続可能な社会の実現を目指すことを目的としていました。具体的には、汚染物質の排出規制、廃棄物管理の強化、自然環境の保護など、幅広い分野を網羅した包括的な法的枠組みを構築しました。
地球環境を守るために

地球にやさしい?適正処理困難物との付き合い方

私たちの暮らしは、便利なモノであふれています。しかし、その裏側では、処分が難しく、環境への負担が大きい「適正処理困難物」の問題が深刻化しています。では、一体どんなものが「適正処理困難物」と呼ばれるのでしょうか? 「適正処理困難物」とは、その組成や性状から、通常の処理施設では安全かつ適切に処理することが難しい廃棄物のことです。具体的には、家電リサイクル法の対象となるエアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、パソコンなどが挙げられます。また、建設現場から排出されるアスベスト含有廃棄物や、水銀を含む蛍光灯なども、適正処理困難物に該当します。これらの廃棄物は、環境汚染や健康被害を引き起こす可能性があるため、適切な処理が求められます。
地球環境を守るために

安定型処分場:地球環境とエネルギーの未来

安定型処分場とは、放射性廃棄物を、人が手を加えなくても安全な状態になるまで、長期間にわたって隔離・保管するために建設される施設のことです。放射性廃棄物は、原子力発電所などから発生し、放射線を出す能力が時間の経過とともに弱まっていくという性質を持っています。安定型処分場は、この性質を利用し、人間の生活環境や周辺環境への影響を長期にわたって遮断することを目的としています。
地球環境を守るために

広域処理:災害廃棄物と環境問題

2011年3月11日に発生した東日本大震災は、未曾有の被害をもたらし、その中には想像を絶する量の災害廃棄物が発生しました。地震や津波によって破壊された家屋や建物、流されてきた車や船舶など、その量は阪神・淡路大震災の約1.5倍、約1,800万トンにものぼりました。 被災地では、この膨大な量の災害廃棄物を処理することが喫緊の課題となりました。しかし、被害の規模があまりにも大きく、被災地の処理能力だけでは追いつかず、環境汚染や二次災害の発生も懸念されました。 そこで、国は「広域処理」という方法を採用しました。これは、被災地の災害廃棄物を他の自治体に搬送し、そこで処理を行うというものです。広域処理によって、被災地の負担を軽減し、迅速かつ効率的な処理が可能となりました。 東日本大震災は、災害廃棄物の広域処理の必要性を改めて浮き彫りにしました。広域処理は、被災地の環境保全と復興を支える上で、非常に重要な役割を担っていると言えます。
リサイクルについて

自動車リサイクルと環境保護:引取業者の役割

自動車を廃車にする際、私たちは「第二種特定製品引取業者」という存在を意識する必要があります。 これは、使用済み自動車の適正な処理を促進するために、資源有効利用促進法に基づいて定められた業者です。 第二種特定製品引取業者は、大きく分けて「フロン類回収業者」と「自動車破砕業者」の二つに分類されます。 まず、「フロン類回収業者」は、エアコンなどに使用されているフロン類を、大気中に放出することなく回収し、処理する役割を担います。フロン類はオゾン層破壊や地球温暖化の原因となるため、適切な回収・処理が不可欠です。 一方、「自動車破砕業者」は、使用済み自動車を解体し、鉄やアルミなどの資源を回収する役割を担います。これらの資源はリサイクルされ、新たな製品の材料として生まれ変わります。 このように、第二種特定製品引取業者は、環境保護と資源の有効活用という二つの観点から非常に重要な役割を担っています。私たちが車を廃車にする際には、こうした業者の存在を意識し、適切な処理を依頼することが大切です。
地球環境を守るために

ロンドン条約:海を守る国際協調

人類は、長年にわたり広大な海を無限の資源の宝庫とみなすと同時に、廃棄物の処理場としても利用してきました。特に産業革命以降、人間活動が活発になるにつれて、海洋への廃棄物の量は増加の一途を辿りました。有害な物質を含む廃棄物が海に捨てられ、海洋汚染が深刻化していったのです。 1960年代に入ると、世界各地で海洋汚染による漁業被害や生態系への影響が顕著化し始めました。この頃、「公害」が国際的な問題として認識されるようになり、海洋汚染に対しても国際的な取り組みが必要だという機運が高まりました。 こうした背景のもと、1972年に「廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約」(通称ロンドン条約)が採択されました。この条約は、海洋を汚染から守るため、廃棄物の海洋投棄を規制することを目的としていました。 ロンドン条約の誕生は、海洋環境問題に対する国際社会の意識の高まりを象徴する出来事と言えるでしょう。
地球環境を守るために

環境を守る、管理型処分場とは?

私たちの生活は、日々大量に排出される廃棄物と切っても切り離せない関係にあります。そして、その処理方法によって、環境への影響は大きく変わってきます。適切に処理されなければ、土壌や水質汚染、悪臭の発生など、様々な問題を引き起こす可能性もあります。 そこで重要な役割を担うのが「処分場」です。処分場は、単に廃棄物を捨てるところではなく、環境への負荷を最小限に抑えながら、廃棄物を安全かつ適切に処理する施設です。特に、「管理型処分場」は、厳しい基準に基づいて設計・管理されており、環境への影響を最小限に抑えるための様々な工夫が凝らされています。
リサイクルについて

地球を守る!不燃ごみの意外な真実

不燃ごみとして捨てられたものが、実は地球環境に大きな負荷をかけていることをご存知でしょうか? 私たちが普段何気なく捨てている不燃ごみですが、その処理方法や最終的な行方について考えることは少ないかもしれません。しかし、不燃ごみの処理は、大気汚染や土壌汚染、そして気候変動など、地球規模の環境問題に繋がっているのです。 例えば、不燃ごみを焼却処理する場合、ダイオキシンなどの有害物質が発生する可能性があります。また、埋め立て処理する場合には、土地の不足や水質汚染などの問題が生じます。さらに、不燃ごみの多くは資源として再利用可能なものも含まれており、安易に廃棄することは資源の無駄遣いにも繋がります。 この章では、不燃ごみ問題が地球環境に及ぼす影響について、具体的な事例を交えながら詳しく解説していきます。私たち一人ひとりが問題意識を持ち、日々の行動を見直すことが、地球を守ることに繋がっていくのです。
SDGsと暮らし

地球を想う、粗大ごみの捨て方

粗大ごみの不適切な処理は、私たちの生活環境や地球環境に深刻な影響を及ぼします。 まず、不法投棄された粗大ごみは、景観を損なうだけでなく、土壌や水質を汚染する原因となります。 また、粗大ごみを焼却すると、有害な物質が発生し、大気汚染や地球温暖化につながる可能性があります。 さらに、貴重な資源を無駄にすることにもなり、持続可能な社会の実現を阻害する要因となります。 私たち一人ひとりが問題意識を持ち、責任ある行動をとることが重要です。
地球環境を守るために

地域を変える、コミュニティプラントの可能性

コミュニティプラントとは、地域住民が主体となって運営する小規模な発電施設のことです。太陽光発電や風力発電、バイオマス発電など、そのエネルギー源は様々ですが、地域の資源を活用し、住民自身で電力を生み出し、利用するという点に大きな特徴があります。従来の大規模な発電所とは異なり、地域に密着したエネルギー供給を実現できることから、近年注目を集めています。
リサイクルについて

意外と知らない?紙くずの真実

私たちの日常生活で何気なく消費されている紙。その裏側には、大量の紙くず問題が潜んでいます。紙くずは、適切に処理されなければ、地球環境に様々な悪影響を及ぼします。 まず、森林破壊の問題があります。紙の原料は木材であり、紙の需要が増えれば増えるほど、多くの木々が伐採されることになります。森林は、二酸化炭素を吸収し、地球温暖化を抑制する役割を担っています。しかし、森林破壊が進むことで、このバランスが崩れ、地球温暖化を加速させてしまうのです。 また、紙くずの焼却も環境負荷を高めます。紙くずを焼却すると、大量の二酸化炭素や有害物質が発生し、大気を汚染します。さらに、焼却灰は埋め立て処分されますが、最終処分場の不足は深刻化しており、新たな環境問題となっています。 このように、紙くず問題は、地球環境全体に深刻な影響を与えているのです。
リサイクルについて

地球を救う静脈産業の挑戦

静脈産業とは、資源を採取する鉱業や、製品を生産する製造業などとは異なり、すでに存在する製品や廃棄物を回収し、再資源化・再利用を通じて新たな価値を生み出す産業のことです。 循環型社会の実現に向けたキー産業として近年注目を集めており、地球環境の保全に大きく貢献しています。
リサイクルについて

粗大ごみ処理の今:環境とエネルギーの視点

近年、私たちの生活水準が向上する一方で、粗大ごみの排出量は増加の一途を辿っています。これは、家具や家電製品の買い替えサイクルが短くなっていることや、便利な使い捨て製品の普及などが背景にあります。増加する一方の粗大ごみは、処理場の不足や環境への負荷といった深刻な問題を引き起こしています。また、粗大ごみの中には、まだ使える状態のものや、適切な処理をすれば資源として再利用できるものが多く含まれているにも関わらず、多くのものが焼却処分されているのが現状です。このような状況は、限りある資源の浪費にも繋がっており、早急な対策が求められています。
リサイクルについて

分別収集の重要性:地球を救う第一歩

私たちの日常生活に欠かせない分別収集ですが、その取り組み状況は地域によって大きく異なっています。 都市部では、細かく分別するルールが設定され、資源の有効活用が進んでいる一方、地方では、分別収集のインフラが整っていない、または住民への意識啓蒙が不足しているなどの理由から、十分な成果が出ていないケースも見られます。例えば、人口密度の高い都市部では、効率的な収集システムを導入し、資源ごみの回収率向上を実現している地域もあれば、地方では、収集場所までの距離が遠いため、住民の負担が大きくなり、結果として不法投棄に繋がってしまうケースも少なくありません。このように、分別収集の現状は、地域の実情によって大きな差が生まれているのが現状です。
リサイクルについて

焼却灰:知られざる環境問題

焼却灰とは、家庭ゴミや産業廃棄物を焼却炉で燃やした後に残る灰のことです。私たちは日々、たくさんのゴミを排出していますが、そのゴミが焼却処理された後にも、環境問題を引き起こす可能性を秘めた焼却灰が発生していることを忘れてはなりません。 ゴミを焼却すると、体積は約20分の1にまで減少し、最終処分場の延命につながります。しかし、焼却処理の後には必ず焼却灰が発生します。焼却灰は大きく分けて、燃え残ったゴミや灰などを集めた「焼却残渣」と、排ガスに含まれる有害物質を除去する際に発生する「ばいじん」の2種類に分けられます。 焼却残渣は、さらに処理方法によって分類されます。例えば、溶融処理では、焼却残渣を高温で溶かしてスラグやメタルなどの資源として再利用します。また、セメント原料化では、焼却残渣をセメントの製造過程で利用します。 一方、ばいじんは、ダイオキシン類などの有害物質を含んでいるため、セメント工場などで処理された後、埋め立て処分されます。このように、焼却灰は環境への負荷を低減するために様々な処理が行われていますが、処理方法によっては新たな環境問題を引き起こす可能性も孕んでいると言えるでしょう。
地球環境を守るために

環境を守る遮水シート: その役割と重要性

遮水シートとは、その名の通り、水を通さないシート状の素材のことです。 主に土木建築の分野で、地盤から水分の浸透や流出を防ぐために使用されます。近年では、環境保護の観点からも注目を集めている資材と言えるでしょう。
リサイクルについて

家電リサイクル法: 知って得する家電の捨て方

皆さんは、冷蔵庫や洗濯機、テレビなどの大型家電を処分する際、「家電リサイクル法」って言葉を聞いたことがありませんか? 普段何気なく使っている家電製品ですが、その捨て方には、実は法律でルールが決められているんです。 この法律、ちょっと難しいと思われがちですが、正しく理解すれば、環境保護にも貢献できますし、場合によっては費用の節約にも繋がるんですよ!
地球環境を守るために

地中海を守る盾:投棄規制議定書

地中海は、美しい景観と豊かな生態系を持つ、世界有数の閉鎖性海域です。しかし、その一方で、周辺国の経済活動や人口増加に伴い、海洋汚染が深刻化しています。 特に問題視されているのが、廃棄物や汚染物質の海洋投棄です。 海に捨てられたゴミは、景観を損なうだけでなく、海洋生物に悪影響を及ぼし、生態系全体のバランスを崩してしまう危険性があります。 このような状況を改善するため、1970年代から地中海における廃棄物投棄を規制する取り組みが始まりました。そして、1976年に採択されたのが「地中海投棄規制議定書」、通称「バルセロナ条約」です。この条約は、地中海への廃棄物の投棄を原則禁止し、例外的に許可される場合でも、環境への影響を最小限に抑えるための厳しい条件を設けています。
リサイクルについて

サーマル・リサイクル:廃棄物からエネルギーを生み出す

現代社会は、増え続ける廃棄物と、それに伴う環境汚染という深刻な問題に直面しています。 日本では、毎日約40万トンもの廃棄物が排出されており、その処理は喫緊の課題となっています。 一方で、エネルギー資源の多くを海外に依存している我が国にとって、エネルギーの安定供給は経済成長と国民生活の安定のために不可欠です。 このような状況下、廃棄物を単なるゴミとして処理するのではなく、資源とエネルギー源として有効活用するサーマル・リサイクルが注目されています。
リサイクルについて

知っておきたい循環型社会形成推進基本法

「循環型社会形成推進基本法」は、2000年6月に成立した、循環型社会の実現を目指すための法律です。この法律は、大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会構造から脱却し、資源の有限性を認識した上で、環境への負荷をできる限り低減しながら、経済発展と環境保全を両立させる社会、すなわち循環型社会を形成することを目的としています。 この法律では、循環型社会の概念や基本原則、国・地方公共団体・事業者・国民それぞれの責務などが定められています。具体的には、廃棄物の発生抑制、再使用、再生利用などを推進すること、環境に配慮した製品の設計や製造、販売を促進すること、国民一人ひとりが環境問題に対する意識を高め、積極的に行動することなどが求められています。
リサイクルについて

食品残渣が救う!?地球の未来

毎日の暮らしの中で、何気なく捨てている生ゴミ。実は、その中には「動植物性残渣」と呼ばれる、地球を救う鍵が眠っているかもしれません。一体、動植物性残渣とはどんなものなのでしょうか? 簡単に言うと、動植物性残渣とは、家庭や飲食店から出る食べ残し、野菜くず、魚の骨など、生物由来のゴミのことを指します。普段私たちが「生ゴミ」と呼んでいるものの多くが、この動植物性残渣に当てはまります。
サステナビリティのために

動物のふん尿:地球を救う資源への変換

豊かな自然環境を維持し、食糧生産を支えるためには、家畜のふん尿を適切に管理することが不可欠です。しかし、その量は年々増加しており、環境への負荷は深刻化しています。ふん尿に含まれる窒素やリンは、河川や湖沼に流れ込むと富栄養化を引き起こし、悪臭や水質汚濁の原因となります。また、温室効果ガスであるメタンの発生源にもなり、地球温暖化の一因としても懸念されています。 さらに、家畜ふん尿の処理には多大なコストと労力がかかり、農家にとって大きな負担となっています。適切な処理方法の不足や、処理施設の老朽化なども深刻な問題です。これらの課題を克服し、家畜ふん尿を貴重な資源へと転換していくことが、持続可能な社会の実現には欠かせません。
リサイクルについて

建設副産物で未来を築く:地球に優しい建築へ

建設業界は、資源の大量消費と廃棄物の排出によって、地球環境に大きな負荷をかけている産業の一つです。しかし、近年では、その現状を改善しようと、建設副産物を有効活用する取り組みが注目されています。 建設副産物とは、建設工事の過程で発生するコンクリート塊やアスファルトガラ、木材くずなどを指します。従来は埋め立て処分されることが多かったこれらの廃棄物を、新たな資源として生まれ変わらせることで、環境負荷の軽減を図ることができるのです。
リサイクルについて

資源ごみ問題:埋もれる可能性への対策

資源ごみとは、適切に処理すれば再び資源として活用できるゴミのことを指します。具体的には、紙、プラスチック、金属、ガラスなどが挙げられます。これらの資源ごみは、私たちの生活に欠かせない製品の原料となりますが、その一方で、処理の仕方によっては環境問題を引き起こす可能性も孕んでいます。 現在、日本では多くの資源ごみが排出されており、その量は年々増加傾向にあります。これは、経済活動の活発化やライフスタイルの変化に伴い、製品の生産量や消費量が増加していることが背景にあります。資源ごみの増加は、埋立地の不足や環境汚染などの問題を引き起こす可能性があり、適切な対策を講じることが求められています。