地球を救う貯金?排出量取引の仕組み
地球環境を知りたい
先生、「地球環境とエネルギー」の授業で出てきた『バンキング』って、よく分からなかったんですけど、教えてもらえますか?
地球環境研究家
はい、そうですね。『バンキング』は、京都議定書で決められた仕組みの一つで、簡単に言うと、温室効果ガスの削減目標を達成した国が、さらに頑張って削減できた分を、貯金みたいに次の期間に繰り越せるって考えればいいよ。
地球環境を知りたい
へえー、貯金みたいなものなんですね!でも、なんでそんな仕組みがあるんですか?
地球環境研究家
それはね、各国が積極的に温室効果ガスの削減に取り組むように、そして、柔軟に対応できるようにって考えられてるんだよ。目標を達成できそうな時は、もっと頑張れば、次の期間が楽になるかもしれないしね。
バンキングとは。
地球環境とエネルギーにおける「バンキング」は、簡単に言うと、温室効果ガスを減らすための貯金のようなものです。 京都議定書に参加している先進国が、ある期間内に目標よりも多く温室効果ガスを削減できた場合、その超過分を「貯金」しておき、次の期間の目標達成に利用できる仕組みのことです。これは京都議定書の第3条13項で定められています。
地球温暖化と京都議定書
地球温暖化は、私たちの暮らしや地球全体に深刻な影響を与えると危惧されています。その原因となる温室効果ガスの排出を抑制するために、1997年に京都議定書が採択されました。この議定書では、先進国に対して温室効果ガスの排出削減目標が課せられ、その達成のために様々な取り組みが求められることになりました。
排出量取引とは?
排出量取引とは、企業間で温室効果ガスの排出枠を取引する仕組みのことです。 国が企業ごとに排出量の限度を決め、排出量が少ない企業は、超過した企業に対してその分の排出枠を売却することができます。 このような仕組みを通じて、経済的なインセンティブを働かせながら、全体としての排出量削減を目指すことを目的としています。
バンキングの仕組み
排出量取引において、「バンキング」は重要な役割を担っています。企業は、ある年の排出枠の上限を下回って排出を抑えられた場合、その削減分を翌年以降に「貯金」しておくことができます。これは将来、経済活動の拡大などで排出量が増える際に備え、排出枠不足を解消するための柔軟性を企業に与えるためです。また、将来の技術革新を見据え、より排出削減効果の高い技術が開発された際に備えておくという戦略的な側面もあります。
メリットとデメリット
排出量取引は、企業に温室効果ガスの排出枠を割り当て、排出量の少ない企業は余った枠を多く排出する企業に売却できる仕組みです。
メリットとしては、企業が自主的に排出削減に取り組むインセンティブとなることが挙げられます。排出枠を売却して利益を得ようとする企業が増えれば、結果として全体としての排出量削減につながると期待されています。また、市場メカニズムを活用することで、より効率的に排出削減を進められるという点もメリットです。
一方で、デメリットとしては、排出枠の価格変動リスクや、排出量の算定や取引の監視に伴うコストなどが挙げられます。また、排出量の多い企業が排出枠を購入することで、実質的に排出量削減を先送りできてしまうという問題点も指摘されています。排出量取引は、地球温暖化対策として有効な手段の一つと考えられていますが、その効果を最大限に発揮するためには、制度設計や運用方法を工夫していく必要があると言えるでしょう。
未来への影響
排出量取引は、地球温暖化対策として注目されている仕組みですが、その影響は未来にも及びます。企業にとっては、排出削減目標の達成が、長期的な視点で見た場合の企業価値や競争力に大きく影響する可能性があります。排出量取引への積極的な参加は、環境意識の高い企業イメージを築き、消費者や投資家からの支持を集めることにも繋がるでしょう。一方、排出削減が遅れた企業は、高額な排出枠の購入や、炭素税などの追加的なコスト負担を強いられることになります。将来的には、排出量取引が世界標準となることも予想され、地球全体の排出量削減、ひいては地球温暖化の抑制に貢献することが期待されています。