「愛知目標」後の世界:生物多様性と私たち

「愛知目標」後の世界:生物多様性と私たち

地球環境を知りたい

先生、「ポスト2010年目標」って、2010年より後の目標ってことですよね? なんで2010年より前に目標を立てなかったんですか?

地球環境研究家

いい質問だね! 実は2010年よりも前に「2010年目標」っていうのがあったんだ。これは、2010年までに生物多様性の損失速度を顕著に減少させるという目標だったんだけど、達成できなかったんだね。

地球環境を知りたい

そうなんですね。それで、2010年目標の反省を踏まえて、新たにポスト2010年目標ができたってことですか?

地球環境研究家

その通り! 2010年目標の反省を踏まえて、生物多様性条約COP10で「愛知目標」として採択されたのが、ポスト2010年目標なんだ。2011年以降の生物多様性保全のための世界目標ってわけだね。

ポスト2010年目標とは。

「ポスト2010年目標」は、地球環境とエネルギーに関わる目標で、2010年までに生物多様性の損失速度を大幅に減らすという「2010年目標」に続く、2011年以降の目標を指します。2010年に名古屋で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)の主要議題の一つとして議論され、「愛知目標」として採択されました。

2010年目標と愛知目標:生物多様性保全の転換点

2010年目標と愛知目標:生物多様性保全の転換点

2010年は、生物多様性にとって重要な年でした。この年は、国連が定めた「国際生物多様性年」であると同時に、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が名古屋で開催された年でもあります。このCOP10において、2011年から2020年までの生物多様性戦略計画「愛知目標」が採択されました。

愛知目標が採択される以前、2002年にオランダのハーグで開催された生物多様性条約COP6では、2010年までに生物多様性の損失速度を顕著に減少させるという「2010年目標」が設定されていました。しかし、世界は目標達成に十分な進展を見せることができませんでした。

愛知目標は、2010年目標の反省を踏まえ、より具体的かつ行動指向の目標として設定されました。世界共通の20の目標と、それぞれの目標を達成するための具体的な行動目標が盛り込まれており、各国は、愛知目標の達成に向けて、国家戦略や行動計画を策定し、取り組みを進めてきました。

愛知目標の成果と課題:達成度はどれくらい?

愛知目標の成果と課題:達成度はどれくらい?

2010年に名古屋で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で採択された「愛知目標」。2020年を目標年として、生物多様性の損失を食い止めるための20の個別目標が掲げられました。しかし、目標達成年は過ぎたものの、その達成度は決して十分とは言えない状況です。

一部の目標では、外来種の侵入経路の特定や保護地域の拡大など、一定の進展が見られました。しかし、多くの目標は達成には至らず、生物多様性の損失は依然として深刻な問題となっています。特に、森林破壊や海洋汚染、気候変動など、生物多様性を脅かす要因は複雑に絡み合い、その解決は容易ではありません。

愛知目標の取り組みを通じて、生物多様性の重要性に対する認識は世界的に高まりました。一方で、具体的な行動に移せていない、あるいは効果的な対策が不足しているなど、課題も浮き彫りになりました。この教訓を踏まえ、「愛知目標」後の世界では、より効果的な目標設定と、目標達成に向けた具体的な行動計画の策定が求められています。

2020年以降の枠組み:ポスト2020年目標と生物多様性戦略

2020年以降の枠組み:ポスト2020年目標と生物多様性戦略

2010年に愛知県名古屋市で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で採択された「愛知目標」は、生物多様性の損失を食い止めるための2020年までの世界目標でした。しかし、目標達成には至らず、生物多様性の損失は依然として深刻な状況です。

そこで、2020年以降の生物多様性の世界目標として「ポスト2020年生物多様性枠組み」が2022年12月にカナダで開催された生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で採択されました。これは、2030年までに自然を回復軌道に乗せるための、より具体的かつ意欲的な目標と行動を掲げたものです。

「ポスト2020年生物多様性枠組み」は、2050年ビジョン「自然と共生する世界」の実現を目指し、2030年までの達成目標として「昆明・モントリオール目標」を掲げています。これは、陸と海のそれぞれ30%以上を健全な生態系として保全する「30 by 30」や、企業に対し、事業活動が生物多様性に与える影響や依存度を開示することを求めるなど、企業や金融機関の活動における自然関連リスクに関する情報開示の促進などが盛り込まれています。

日本も、この世界目標に貢献するため、「生物多様性国家戦略」を改定し、国内における具体的な取り組みを進めていく必要があります。それは、生物多様性の保全と持続可能な利用を、社会経済活動全体に統合していくことを意味します。私たちの暮らしや経済活動が、生物多様性に大きな影響を与えていることを認識し、自然と調和した持続可能な社会を実現するために、私たち一人ひとりの行動が求められているのです。

私たちにできること:生物多様性保全への参加

私たちにできること:生物多様性保全への参加

生物多様性の損失が深刻化する中、2020年をもってその達成期限を迎えた「愛知目標」に続き、私たち一人ひとりの行動がこれまで以上に重要となっています。生物多様性保全は、もはや一部の専門家や活動家だけの課題ではありません。私たち自身の生活、そして未来を守るため、日々の暮らしの中で、生物多様性に貢献できるアクションを起こしていく必要があります。

では、具体的に私たちに何ができるのでしょうか?身近なところでは、環境に配慮した商品を選ぶことが挙げられます。例えば、森林破壊につながるような製品を避け、持続可能な方法で生産されたものを選ぶことは、生物多様性の保全に繋がります。また、地元の食材を食べることも有効です。地産地消は、輸送による環境負荷を減らすだけでなく、その土地の伝統的な農業や生態系を維持することにも貢献します。

さらに、自然と触れ合う機会を増やすことも大切です。近くの公園を訪れたり、ハイキングに出かけたりすることで、自然の大切さを改めて実感することができます。そして、自然の中で過ごすことで得られた感動や学びを、周りの人たちと共有することも重要です。 生物多様性について学び、その重要性を周りの人に伝えることで、より多くの人に行動の輪を広げることができるでしょう。

持続可能な未来に向けて:人と自然の共生

持続可能な未来に向けて:人と自然の共生

2020年、私たちは生物多様性条約の下で「愛知目標」の達成期限を迎えました。残念ながら、その目標は達成には至らず、生物多様性の損失は依然として深刻な問題となっています。しかし、「愛知目標」で得られた教訓や経験は、未来への貴重な財産と言えるでしょう。私たちは今、「ポスト2020生物多様性枠組」という新たな目標に向けて動き出しています。

この新たな枠組みでは、人と自然の共生が重要なテーマとして掲げられています。これまで、私たちは経済発展を優先するあまり、自然環境に大きな負担をかけてきました。その結果、気候変動や生態系の破壊など、私たち自身の生存をも脅かす事態を招いています。

持続可能な未来を創造するためには、自然の恵みを持続的に利用できる仕組みを作らなければなりません。それは、生物多様性を保全し、生態系の回復に努めながら、自然と調和した暮らし方を実現していくことを意味します。

具体的には、森林の持続可能な管理、海洋資源の保全、再生可能エネルギーへの転換など、様々な取り組みが求められます。また、企業はサプライチェーン全体で環境負荷を低減し、消費者は環境に配慮した商品を選ぶなど、私たち一人ひとりが行動を起こすことが重要です。

人と自然の共生を実現することは、容易な道のりではありません。しかし、それは次世代へ豊かな地球を引き継ぐために、私たちが必ず達成しなければならない課題なのです。

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