燃費規制の10・15モードとは?仕組みと最新動向
地球環境を知りたい
先生、「10・15モード」って、何のことですか? 車の排出ガス規制と関係があるみたいなんですが…
地球環境研究家
良い質問ですね! 「10・15モード」は、簡単に言うと、車の燃費や排出ガスを測定するための模擬走行パターンです。 実際の道路を走る代わりに、試験装置の上でこのパターンを再現して測定するんです。
地球環境を知りたい
なるほど。でも、なんでわざわざ模擬走行パターンを使うんですか? 実際に道路を走って測った方が正確ではないんですか?
地球環境研究家
それは、現実の道路だと、交通状況や天候、運転の癖で結果が大きく変わってしまうからです。 10・15モードを使うことで、どの車も同じ条件で測定できるため、公平に燃費や排出ガスを比較できるわけです。
10・15モードとは。
自動車の排出ガスや燃費を測定する際、実際に道路を走って計測するのは困難です。そこで、『10・15モード』と呼ばれる測定方法が使われています。これは、シャーシダイナモメーターと呼ばれる装置に車を載せ、実際の道路状況を模倣した走行パターンで運転し、排出ガスや燃費を測定するものです。
現在使われている10・15モードは2001年11月に改訂されたもので、アイドリング、加速、低速走行、減速など、実際の道路状況を反映した走行パターンを組合せています。以前は市街地走行を想定した10モードでしたが、都市部の高速道路やバイパスの整備が進み、渋滞も深刻化している現状を踏まえ、より現実的な都市内走行を反映するため、高速走行パターンを含む15モードが追加されました。
10・15モードとは?
10・15モードとは、1991年から2011年まで日本で採用されていた自動車の燃費測定方法です。正式名称は「10・15モード燃費」といい、都市部を想定した走行パターンである「10モード」と、郊外を想定した「15モード」を組み合わせた試験サイクルを用いて測定されました。この試験方法は、当時の日本の交通状況や自動車の使用実態を反映したものでしたが、その後の技術革新や交通環境の変化により、実燃費との乖離が指摘されるようになりました。
10・15モードの試験内容
10・15モード試験は、都市部を想定した「10モード」と、郊外を想定した「15モード」の2つの走行パターンで構成されています。それぞれ定められた速度変化や停止時間に従って車両を走行させ、排出ガスや燃費を測定します。
「10モード」は、発進・加速・停止を繰り返す、信号や渋滞の多い都市部を想定した走行パターンです。最高速度は60km/h、走行距離は約4.1kmで、平均速度は約19km/hと、ストップ&ゴーが多い状況を再現しています。
一方、「15モード」は、発進・加速・定速走行・減速を組み合わせた、郊外を想定した走行パターンです。最高速度は70km/h、走行距離は約7.7kmで、平均速度は約35km/hと、比較的流れの良い走行状態を再現しています。
10・15モード試験では、これらのモードで測定した燃費を元に、所定の計算式を用いて燃費を算出します。この燃費が、車両のカタログ燃費として表示されることになります。
10・15モードのメリット・デメリット
10・15モードは、長年日本の燃費基準として採用されてきた測定方法ですが、メリットとデメリットが存在します。
メリットとしては、まずその試験方法が簡素で費用も抑えられる点が挙げられます。これは自動車メーカーにとって開発コストの抑制につながり、結果的に消費者がより安価な価格で車を購入できる一因となっていました。また、試験方法が確立されているため、データの再現性が高いという点もメリットと言えるでしょう。
一方、10・15モードには実際の走行状態を反映できていないという大きなデメリットがありました。都市部でのストップ&ゴーや高速道路の走行など、実際の運転状況は複雑ですが、10・15モードではこれらの要素が十分に考慮されていませんでした。そのため、カタログ燃費と実燃費に乖離が生じ、消費者の間で混乱を招く原因となっていました。
10・15モードの最新動向
10・15モードは、2018年10月をもって廃止されました。これは、より実走行に近い燃費測定方法であるWLTCモードへの移行が背景にあります。WLTCモードは、従来の10・15モードよりも加速・減速が激しく、より実走行に近い条件下での燃費測定を実現しています。
10・15モードは廃止されましたが、過去に販売された自動車のカタログ燃費は10・15モードに基づいて表示されているため、現在でも参照されることがあります。ただし、10・15モードとWLTCモードでは測定方法が異なるため、単純に燃費の数値を比較することはできません。
自動車を購入する際には、WLTCモードによる燃費表示を確認するようにしましょう。WLTCモードは、市街地モード、郊外モード、高速道路モードの3つの走行モードを組み合わせたもので、より実態に即した燃費性能を把握することができます。
今後の燃費規制はどうなる?
これまで長らく日本の燃費規制の基礎となってきたJC08モードは、実走行燃費との乖離が指摘されてきました。そこで、世界的に統一されたより厳しい試験方法であるWLTCモードへの移行が進んでいます。WLTCモードは、より実走行に近い形で燃費を測定するため、これまでよりも厳しい燃費基準となります。
さらに、将来的には、走行中の排出ガスを測定するRDE(Real Driving Emissions)規制の導入も検討されています。RDE規制は、実際の走行状態での排出ガス量を測定するため、より環境負荷の少ない自動車開発が求められます。
これらの新しい規制は、自動車メーカーにとって大きな挑戦となりますが、消費者にとっては、より環境に優しく、家計にも優しい自動車選びが可能になることを意味します。今後は、各メーカーがこれらの規制に対応した、燃費性能に優れた車種を開発していくことが予想されます。