海の危機!進行する「海洋酸性化」とは?
地球環境を知りたい
先生、「海洋酸性化」って、地球温暖化と何か関係があるんですか?
地球環境研究家
いい質問だね!実は、海洋酸性化は地球温暖化と深く関係しているんだ。地球温暖化の原因である二酸化炭素は、空気中に増えるだけじゃなく、海水にもたくさん溶け込んでしまうんだ。
地球環境を知りたい
そうなんですね。でも、二酸化炭素が溶け込むと、なんで海が酸性になるんですか?
地球環境研究家
二酸化炭素は水に溶けると、炭酸という弱い酸になるんだ。炭酸が増えると、海水のpHが下がって、酸性に傾いてしまう。これが海洋酸性化なんだよ。
海洋酸性化とは。
「海洋酸性化」は、地球環境とエネルギーに深く関わる問題です。 海は本来、陸から離れた外洋ではpH8.1程度の弱アルカリ性を示します。しかし、大気中の二酸化炭素濃度が増加すると、海水中に溶け込む二酸化炭素の量も増加します。 二酸化炭素は水に溶けると炭酸という弱い酸になるため、海水のpHは徐々に低下していくのです。これは、二酸化炭素が濃度の高い方から低い方へ移動する「溶解度ポンプ」という現象によって起こります。
海洋酸性化とは?仕組みと現状
近年、地球温暖化と並んで深刻な環境問題として注目されているのが「海洋酸性化」です。地球温暖化が地球の平均気温の上昇を指すのに対し、海洋酸性化は海水の酸性化が進行する現象を指します。一体なぜ、海水の酸性化が問題となるのでしょうか?
海洋酸性化の主な原因は大気中の二酸化炭素濃度の上昇にあります。産業革命以降、人間活動により石油や石炭などの化石燃料が大量に消費され、大気中に排出される二酸化炭素量が急増しました。二酸化炭素の一部は海に吸収されますが、吸収された二酸化炭素は海水中の物質と化学反応を起こし、海水を酸性側に変化させるのです。
現在の海のpHは産業革命前に比べて約0.1低下しており、これは海水中の水素イオン濃度が約30%増加したことを意味します。一見すると小さな変化に思えるかもしれませんが、海洋酸性化は海の生態系に深刻な影響を与えることが懸念されています。
CO2増加と海の酸性化の関係
地球温暖化の主な原因とされる、大気中の二酸化炭素(CO2)濃度の増加。実は、このCO2増加は、私たちの美しい海にも深刻な影響を与えています。それが「海洋酸性化」です。
海は地球上で発生するCO2の約30%を吸収する役割を担っています。しかし、大気中のCO2濃度が上昇すると、海に吸収されるCO2の量も増加します。海水に吸収されたCO2は、水と反応して炭酸を生成し、その結果、海水のpH値が低下します。これが、海洋酸性化です。
pH値は、物質の酸性度やアルカリ度を示す指標で、0から14までの値で表されます。pH7が中性で、それより数値が小さいと酸性、大きいとアルカリ性となります。海洋酸性化は、海水を中性に近い弱アルカリ性から酸性側に変化させる現象といえます。
産業革命以降、世界の海の平均的なpHは0.1程度低下したとされています。これは小さな変化に思えるかもしれませんが、海洋生態系にとっては大きな変化であり、様々な悪影響が懸念されています。
海洋生物への影響-生態系への危惧
酸性化が進む海は、そこに暮らす海洋生物たちに様々な影響を及ぼします。特に深刻なのが、貝類やサンゴ、プランクトンなど、炭酸カルシウムの殻や骨格を持つ生物への影響です。酸性化した海水の中では、炭酸カルシウムが溶けやすくなるため、殻や骨格の形成が阻害されてしまうのです。
例えば、貝類の殻は薄くもろくなり、サンゴは骨格を形成することが困難になります。これらの影響は、海洋生物の成長や繁殖を妨げ、ひいては生態系のバランスを崩すことに繋がります。食物連鎖を通じて、他の生物にも悪影響が及ぶ可能性も懸念されています。豊かな海の恵みを守っていくためにも、海洋酸性化の問題に真剣に向き合い、対策を進めていく必要があります。
私たちへの影響-食卓と経済への打撃
海洋酸性化は、私たちの食生活、そして経済にも大きな影響を与えます。 特に深刻なのは、貝類や甲殻類への影響です。酸性化した海水では、これらの生物が殻を作りにくくなるため、成長が阻害されたり、死滅してしまうケースも増加します。 日本で古くから愛されてきたアワビやホタテ、さらにはカニやエビなども、将来的に食べられなくなる可能性も示唆されています。
漁獲量の減少は、当然ながら漁業関係者にとって死活問題です。さらに、水産加工業や飲食業など、関連産業にも大きな打撃となり、経済全体に波及していくことが懸念されます。 また、食卓からこれらの海産物が消えることは、私たちの食文化や健康にも影響を与える可能性があります。
未来への対策-私たちにできること
海洋酸性化は、地球規模で進行する深刻な問題ですが、私たち自身の行動を変えることで、その進行を遅らせたり、食い止めたりできる可能性があります。
まず第一に、二酸化炭素の排出量を減らすことが重要です。省エネルギー家電製品の使用、公共交通機関の利用、徒歩や自転車の活用など、日常生活の中でできることから始めましょう。また、企業は再生可能エネルギーの利用を推進し、製造プロセスにおける排出量削減に積極的に取り組む必要があります。
海洋酸性化への意識を高めることも大切です。この問題について学び、家族や友人と共有し、積極的に議論することで、より多くの人が現状を理解し、行動を起こすきっかけとなります。
さらに、海洋環境の保全活動に参加することも効果的です。海岸清掃やサンゴ礁の保護活動など、地域レベルでの活動は、海洋生態系の回復力を高め、酸性化の影響を軽減することに繋がります。
海洋酸性化は、私たち人類共通の課題です。未来の世代へ健全な海を引き継ぐために、一人ひとりができることから行動を起こしていくことが大切です。