ISO14001とは? 環境経営の基礎知識
地球環境を知りたい
先生、地球環境とエネルギーの授業で『ISO14001』っていうのが出てきたんですけど、何だかよく分かりません。教えて下さい!
地球環境研究家
なるほど。『ISO14001』は、企業が環境を守るための仕組みを作るための国際的なルールなんだよ。簡単に言うと、環境マネジメントシステムの規格だね。
地球環境を知りたい
環境マネジメントシステム…?企業が環境を守るための仕組みって、具体的にどんなことをするんですか?
地球環境研究家
例えば、工場から出る二酸化炭素を減らす目標を立てたり、省エネ活動に取り組んだり、廃棄物を減らす工夫をしたりすることだね。ISO14001はそのための活動計画を立て、実行し、チェックし、改善するPDCAサイクルを回すことを求めているんだよ。
ISO14001とは。
「ISO14001」は、地球環境とエネルギーに関する環境マネジメントシステム規格です。1992年の地球サミットをきっかけに設立された、持続可能な開発を目指す企業の国際組織であるBCSD(持続可能な開発のための経済人会議)の要請を受け、国際標準化機構(ISO)が1996年に制定しました。ISO14000シリーズの中核をなし、認証登録制度をとっています。
ISO14001誕生の背景
高度経済成長期、大量生産・大量消費は経済発展の原動力とされましたが、同時に、地球環境への負荷が深刻化しました。 環境問題への意識の高まりを受け、企業は経済活動と環境保全の両立を求められるようになりました。このような背景から、環境マネジメントシステムの国際標準規格であるISO14001が誕生しました。1996年に発行されたISO14001は、環境問題に対する国際的な枠組みを提供し、企業が環境への影響を低減するためのシステム構築を支援することを目的としています。
環境マネジメントシステムとは?
企業が環境保全に積極的に取り組むための仕組みのこと環境マネジメントシステム(EMS)と言います。 組織活動の中で、環境に影響を与える可能性のある要素を洗い出し、継続的に改善していくための仕組みです。
具体的な活動としては、環境方針の策定、環境目的・目標の設定、環境側面の特定、環境影響の評価、環境パフォーマンスの向上のための活動の実施、内部監査、マネジメントレビューなどが挙げられます。
環境マネジメントシステムを構築することで、企業は環境負荷の低減、環境リスクの管理、企業イメージの向上、法規制への適合などのメリットを享受することができます。
ISO14001取得のメリット
ISO14001を取得することで、企業は様々なメリットを享受することができます。まず、環境負荷を低減することができます。ISO14001では、環境マネジメントシステムを構築し、運用していく中で、自社の活動が環境に与える影響を分析し、環境負荷を低減するための目標を設定し、具体的な対策を講じることが求められます。このプロセスを通じて、省エネルギー、廃棄物削減、リサイクルの推進など、環境負荷の低減につながる活動が促進されます。
また、企業イメージの向上も期待できます。環境問題への意識が高まる中、企業の環境への取り組みは、顧客や取引先、投資家などステークホルダーからの評価に大きく影響します。ISO14001の取得は、環境問題に積極的に取り組む企業であることを社内外に示すことができ、企業イメージの向上、ひいては顧客獲得や取引の拡大、優秀な人材の確保などにつながる可能性があります。
さらに、法規制への対応もスムーズに進めやすくなります。ISO14001は、環境に関する法律や規制を網羅的に扱っており、取得に向けた取り組みの中で、自社の活動が関連法令に適合しているかを確認することができます。これにより、法令違反のリスクを低減し、コンプライアンス経営を強化することができます。
このように、ISO14001の取得は、環境負荷の低減、企業イメージの向上、法規制への対応など、多くのメリットをもたらします。環境問題への意識が高まる現代において、ISO14001は企業にとって重要な経営戦略と言えるでしょう。
ISO14001認証取得までの流れ
ISO14001認証を取得するまでの道のりは、企業規模や事業内容、現状の取り組み状況によって大きく異なりますが、一般的な流れは以下のようになります。
1. -現状分析-
まずは、自社の環境負荷状況や環境に関する法的要求事項などを把握します。この段階では、環境側面を洗い出し、どの程度の環境負荷があるのかを分析することが重要です。
2. -環境方針の策定-
現状分析に基づき、環境保全に関する基本的な考え方や行動指針を明確にした環境方針を定めます。トップのコミットメントとして、環境への取り組み姿勢を社内外に表明する重要なプロセスです。
3. -環境マネジメントシステムの構築-
環境方針に基づき、環境目的や目標を設定し、その達成のための手順や責任体制などを明確にした環境マネジメントシステムを構築します。
4. -運用開始と内部監査-
構築した環境マネジメントシステムに基づいて、実際の運用を開始します。並行して、システムが適切に運用されているかをチェックする内部監査を実施します。
5. -マネジメントレビュー-
内部監査や運用状況を踏まえ、トップマネジメントが環境マネジメントシステムの妥当性や有効性を評価し、改善が必要な点などを検討します。
6. -認証機関の審査・認証取得-
構築・運用した環境マネジメントシステムが、ISO14001の要求事項に適合しているかを認証機関による審査を受けます。審査に合格すれば、晴れてISO14001の認証取得となります。
企業の社会的責任とISO14001
企業を取り巻く環境は、地球規模で変化しています。環境問題への意識の高まりや、持続可能な社会の実現に向けた取り組みなど、企業は経済的な発展のみならず、環境保全への貢献も求められるようになっています。この考え方を「企業の社会的責任(CSRCorporate Social Responsibility)」と呼びます。
ISO14001は、このCSRの考え方に基づき、企業が環境への影響を最小限に抑えながら事業活動を行うための仕組みを提供する環境マネジメントシステムの国際規格です。具体的には、環境汚染の防止、環境関連法令の遵守、環境パフォーマンスの継続的改善など、企業が取り組むべき環境側面を網羅的に定めています。
ISO14001を取得することで、企業は自社の環境への取り組みを対外的に示し、ステークホルダーからの信頼獲得や企業価値の向上につなげることができます。また、環境マネジメントシステムを構築することで、業務効率化やコスト削減、リスク管理の強化など、企業にとって様々なメリットをもたらすことも期待できます。