ABS指針入門:地球環境を守るための国際ルール

ABS指針入門:地球環境を守るための国際ルール

地球環境を知りたい

先生、「ABS指針」って、一体何のことですか? 環境問題と何か関係があるんですか?

地球環境研究家

いい質問ですね!「ABS指針」は、実は環境問題と深く関わっています。具体的には、生物多様性と、そこから生まれる利益の配分に関するルールなんですよ。

地球環境を知りたい

生物多様性と利益の配分ですか? どうしてそれが環境問題と繋がるのでしょうか?

地球環境研究家

例えば、薬になる植物を開発する際、その植物の原産国と開発した国で利益を公平に分けることが大切です。そうでないと、生物資源が乱獲されたり、原産国の環境が破壊されたりする可能性があるからです。ABS指針は、そのような問題を防ぎ、持続可能な形で生物資源を利用するための国際的なルールなんですよ。

ABS指針とは。

「地球環境とエネルギーに関する『ABS指針』は、遺伝資源へのアクセスとその利用から生まれる利益を公正かつ公平に分配するための指針です。正式名称は「遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する指針」で、英語表記では “Guidelines on Access to Genetic Resources and the Fair and Equitable Sharing of Benefits Arising from their Utilization” となります。この指針は、2010年10月に名古屋市で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で採択された「名古屋議定書」を国内で施行するために、2017年5月18日に公布されました。

ABS指針とは?

ABS指針とは?

ABS指針は、遺伝資源へのアクセスと、その利用から生ずる利益の配分に関する国際的な枠組みです。生物多様性条約を基盤とし、2010年に名古屋で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で採択されました。具体的には、遺伝資源の利用と利益配分に関するルールを定めることで、生物多様性の保全と持続可能な利用を促進することを目的としています。

なぜABS指針が重要なのか?

なぜABS指針が重要なのか?

近年、生物多様性の損失が地球規模で深刻化しており、国際社会全体でその保全が急務となっています。生物多様性条約(CBD)は、この問題に取り組むための重要な枠組みであり、その中で「ABS指針」は、遺伝資源の利用とその利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分(ABS)に関する国際的なルールを定めています。

ABS指針は、遺伝資源の利用と利益配分に関する国際的な枠組みを提供することで、生物多様性の保全と持続可能な利用に貢献することを目的としています。具体的には、遺伝資源を提供する国(主に開発途上国)の権利を明確化し、利用する国(主に先進国)との間で、遺伝資源へのアクセスや利益配分に関するルールを定めることで、遺伝資源の違法な取得や利用を防ぎ、その利用から生じる利益を公正かつ衡平に配分することを目指しています

ABS指針は、私たち人類共通の財産である生物多様性を保全し、その恩恵を将来世代にわたって享受していくために、国際社会全体で遵守すべき重要なルールと言えるでしょう。

ABS指針の内容

ABS指針の内容

ABS指針は、遺伝資源へのアクセスとその利用から生じる利益を公正かつ衡平に配分することを目的とした国際的なルールです。具体的には、遺伝資源へのアクセス、利益配分、先住民や地域社会の伝統的な知識の保護といった内容を網羅しています。

遺伝資源とは、動植物や微生物など、人類にとって価値を持つ遺伝素材のことを指します。医薬品や化粧品、農業など様々な分野で活用され、私たちの生活に大きく貢献しています。ABS指針は、これらの貴重な資源へのアクセスを明確化し、その利用から生じる利益を資源提供国と利用国との間で公正に配分することを目指しています。

また、ABS指針は、遺伝資源の利用と密接に関わっている先住民や地域社会の伝統的な知識の保護も重視しています。彼らの伝統的な知識は、遺伝資源の利用や保全に大きく貢献してきた歴史があり、ABS指針は、その知識の利用についても公正かつ衡平な条件でアクセスし、利益配分を行うことを求めています。

企業がABS指針にどう対応すべきか?

企業がABS指針にどう対応すべきか?

近年、生物多様性の損失が深刻化し、国際社会全体でその保全が喫緊の課題となっています。生物多様性条約(CBD)を基盤とする「名古屋議定書」と「ABS指針」は、生物資源の利用とその利益配分に関する国際的なルールを定めたもので、地球環境保全のために重要な役割を担っています。

企業は、事業活動において生物資源を利用する際、ABS指針を遵守することが求められます。具体的には、生物資源の原産国からアクセスと利益配分に関する事前同意(PIC)を取得すること、そして、相互に合意した条件(MAT)に基づいて利益配分を実施することが必要となります。

企業は、ABS指針への対応を単なる法令遵守と捉えるのではなく、持続可能な事業活動、ひいては企業価値向上のための戦略的な取り組みとして位置づけるべきです。ABS指針に基づいた適切な手続きは、原産国との信頼関係構築に繋がり、新たなビジネスチャンスの創出にも繋がります。また、企業の社会的責任(CSR)を果たし、企業イメージ向上にも大きく貢献します。

未来への展望:ABS指針と持続可能な社会

未来への展望:ABS指針と持続可能な社会

ABS指針は、遺伝資源の利用から生じる利益を公正かつ衡平に配分することで、生物多様性の保全と持続可能な利用を促進することを目指しています。この指針は、将来世代にわたる地球環境の健全性を確保するために重要な役割を担っています。

ABS指針に基づいた遺伝資源の利用は、新たな医薬品や化粧品の開発、農作物の品種改良など、様々な分野でのイノベーションにつながることが期待されています。同時に、遺伝資源の原産国は、利益配分を通じて経済的な発展を遂げ、生物多様性の保全にも積極的に取り組むことができるようになります。

ABS指針の運用は始まったばかりであり、国際社会全体でその実効性を高めていくためには、更なる努力が必要です。遺伝資源の利用に関する情報共有を促進すること、利益配分の仕組みを透明化すること、能力開発支援を通じて途上国の参加を促すことなどが重要な課題として挙げられます。

ABS指針は、環境保全と経済発展を両立させ、持続可能な社会を実現するための重要なツールです。私たち一人ひとりがこの指針への理解を深め、積極的に関与していくことが、地球の未来を守ることにつながっていくでしょう。

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