「みんなで築くよりよい環境」を目指して:環境教育懇談会報告(1986)とは?

「みんなで築くよりよい環境」を目指して:環境教育懇談会報告(1986)とは?

地球環境を知りたい

先生、「環境教育懇談会報告」って、どんな内容だったんですか?

地球環境研究家

それは良い質問だね!1986年に当時の環境庁が「環境教育懇談会」を設置して、1988年に報告書をまとめたんだ。 「みんなで築くよりよい環境」を求めて、がサブタイトルだったんだよ。

地球環境を知りたい

へえー。どんなことが書かれていたんですか?

地球環境研究家

環境問題の深刻化が進む中で、地球全体の調和を考えた行動のできる人を育てるために、学校教育だけでなく社会全体で環境教育を進めていく必要があるってことが書かれていたんだよ。当時としては画期的な考え方だったんだ。

環境教育懇談会報告とは。

「地球環境とエネルギーに関する『環境教育懇談会報告』は、1986年に旧環境庁が設置した「環境教育懇談会」が、1988年に「みんなで築くよりよい環境」を目指してまとめた報告書のことを指します。

1. 環境問題の深刻化と環境教育の必要性

1. 環境問題の深刻化と環境教育の必要性

1980年代、日本は高度経済成長期を経て、深刻な公害問題に直面していました。工場からの排水による水質汚染、自動車の排気ガスによる大気汚染など、経済発展の裏で環境破壊が進んでいたのです。このような状況を受け、人々の環境問題に対する意識は高まり、環境保全の重要性が叫ばれるようになりました。

こうした背景から、1986年、環境庁(現環境省)は「環境教育懇談会報告」をまとめました。これは、環境問題の解決には、人々の意識改革と行動が不可欠であるという認識に基づき、環境教育の在り方について提言を行うものでした。環境問題を「自分たちの問題」として捉え、積極的に行動できる人材を育成することが急務とされたのです。

2. 環境教育懇談会報告(1986)の概要

2. 環境教育懇談会報告(1986)の概要

1986年に発表された「環境教育懇談会報告」は、当時の日本の環境問題と教育のあり方を深く考察し、未来へ向けた具体的な提言を示した重要な報告書です。本報告書は、人間と環境の調和、持続可能な社会の実現に向けて、環境教育が果たすべき役割を明確化しました。具体的には、自然体験を通した環境への理解を深めること、環境問題に対する問題解決能力を育むこと、そして、積極的に環境保全活動に参加する態度を養うことなどを提言しています。

本報告書が発表された1980年代後半は、日本の高度経済成長に伴い、大気汚染や水質汚濁など、深刻な環境問題が顕在化していました。こうした背景の中、環境問題の解決には、人々の意識改革と行動が不可欠であるとの認識が広まり、環境教育の重要性に対する関が高まりました。そこで、環境庁(当時)は、有識者による「環境教育懇談会」を設置し、環境教育のあり方や具体的な推進方策について検討を行いました。その結果としてまとめられたのが、「環境教育懇談会報告」です。

3. 「みんなで築くよりよい環境」という理念

3. 「みんなで築くよりよい環境」という理念

この報告書の中心となるのは、「みんなで築くよりよい環境」という理念です。これは、環境問題が一部の専門家や行政だけのものではなく、私たち一人ひとりが当事者意識を持って、協力して解決していくべき課題であることを明確に示しています。

環境問題は、私たちの日々の生活と密接に関わっています。そして、その影響は、未来を生きる世代にも及ぶものです。だからこそ、世代や立場を超えて、全員が参加し、それぞれの役割と責任を果たしながら、よりよい環境を創造していくことが重要視されています。

4. 報告書が提言した環境教育の内容と方法

4. 報告書が提言した環境教育の内容と方法

1986年に発表された環境教育懇談会報告書では、未来を担う子どもたちのために、環境問題に対する理解を深め、主体的に行動できる人材を育成することを目的とした環境教育の必要性が強く訴えられました。

報告書は、環境問題を「身近な環境問題」「地球規模の環境問題」の二つの視点から捉え、それぞれに応じた教育内容と方法を提言しています。

「身近な環境問題」については、自然体験や地域活動を通して、環境問題を自分たちの問題として捉え、解決に向けて行動できる態度を育むことを重視しています。具体的には、地域清掃への参加や、リサイクル活動への取り組み、自然観察会の実施などが挙げられます。

一方、「地球規模の環境問題」については、科学的な知識や情報を基に、問題の構造や影響を理解し、持続可能な社会の実現に向けて、論理的に思考し、判断できる力を養うことが重要視されています。地球温暖化や酸性雨、熱帯雨林の減少といった地球規模の環境問題について、資料やデータを用いながら学び、その原因や影響、そして私たちにできることを考える機会を設けるべきだと提言しています。

さらに、これらの学習をより効果的にするために、学校教育だけでなく、家庭や地域社会、企業など、あらゆる場において環境教育が行われるべきであると指摘しています。環境問題は、私たち一人ひとりの行動が密接に関わっており、社会全体で環境問題に対する意識を高め、行動を起こしていくことが重要であると訴えかけています。

5. 現代社会における報告書の意義と課題

5. 現代社会における報告書の意義と課題

1986年に発表された「みんなで築くよりよい環境」と題された環境教育懇談会報告書は、当時の社会状況を背景に、環境問題への意識の高まりと対応の必要性を強く訴えました。それから約40年経った現代においても、その内容は色褪せることなく、むしろその重要性を増しています。

特に、地球温暖化をはじめとする環境問題が地球規模で深刻化する現代において、報告書が提唱する「環境倫理」の確立と、それを基盤とした行動の必要性はますます高まっています。 しかし、現代社会は情報過多であり、環境問題に関する情報も溢れかえっています。そのため、本報告書が訴える内容を、現代の状況に合わせてどのように人々に伝え、行動へとつなげていくかが課題と言えるでしょう。

具体的には、デジタル技術を活用した情報発信や、持続可能な社会の実現に向けた具体的な行動指針を示すなど、現代の社会状況に合わせたアプローチが求められます。また、環境問題が地球規模の課題であることを踏まえ、国際的な連携強化や、多様な文化や価値観への理解を促進することも重要です。

「みんなで築くよりよい環境」という理念を実現するために、本報告書を現代社会においてどのように活かしていくか、改めて問い直す必要があるでしょう。

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