改正バーゼル法:廃棄物輸出の新たなルール
地球環境を知りたい
先生、「バーゼル法改正」って、最近ニュースで見かけるんですけど、どんな内容か教えてください。
地球環境研究家
いい質問ですね。 「バーゼル法改正」は、簡単に言うと、有害な廃棄物の輸出入を規制する法律の改正です。具体的には、これまでリサイクル目的で輸出されていた廃電子基板などが規制対象になりました。
地球環境を知りたい
へぇー。どうして規制対象になったんですか?
地球環境研究家
それは、発展途上国に廃電子基板などが輸出されて、不適切な処理による環境汚染や健康被害が問題になってきたからです。日本を含む先進国は、自国の廃棄物を適切に処理する責任が求められています。
バーゼル法改正とは。
「地球環境とエネルギー問題への取り組みとして、バーゼル法が改正されました。この法律は、正式には『特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律』といい、国際的な取り決めである『有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約』を国内で実施するためのものです。平成4年に制定されて以来、約25年が経過し、近年は、廃電子基板や使用済み鉛蓄電池をリサイクルする目的での取引が、世界的に増加しています。こうした状況を踏まえ、2017年6月に一部改正されました。」
バーゼル法改正の背景とは?
近年、世界的に廃棄物問題への意識が高まっています。特に、先進国から途上国へのプラスチックごみ輸出は、環境汚染や健康被害など深刻な問題を引き起こしており、国際社会から厳しい目が向けられるようになりました。このような状況を受け、廃棄物の越境移動を規制する国際条約であるバーゼル条約が改正されました。これが「改正バーゼル法」です。
改正バーゼル法は、廃棄物輸出の規制を強化し、環境保護と資源循環を促進することを目的としています。具体的には、輸出国の責任を明確化し、輸入国の同意を得ない廃棄物輸出を原則禁止としています。また、リサイクル可能な廃棄物の輸出については、国際的な基準を満たすことを条件としています。
改正による廃棄物輸出のルール変更点
2023年1月に改正バーゼル法が施行され、廃棄物輸出に関するルールが大幅に改正されました。主な変更点は、汚染されたプラスチックごみの輸出規制強化です。改正以前は、リサイクル目的であれば、汚染されたプラスチックごみであっても輸出が可能でした。しかし、改正後は、相手国が輸入を承諾する場合を除き原則輸出が禁止されることになりました。
この改正は、廃プラスチックによる発展途上国への環境汚染問題を受けたものです。日本を含む先進国は、これまでリサイクルを名目に、大量の廃プラスチックを途上国へ輸出していました。しかし、実際には現地で適切に処理されず、環境汚染や健康被害を引き起こすケースが後を絶ちませんでした。今回の改正は、こうした問題に歯止めをかけ、廃棄物輸出に対する国際的な責任を改めて明確にするものです。
廃電子基板等の輸出規制強化の狙い
改正バーゼル法において、特に注目されるのが廃電子基板等の輸出規制強化です。
これまで、発展途上国への電子機器の廃棄物輸出は、環境汚染や健康被害を引き起こす要因の一つとして国際的な問題となっていました。安価な労働力に頼ったずさんな処理や、有害物質の適切な管理が行われないケースも少なくなく、深刻な環境汚染を引き起こしてきたのです。
今回の改正は、こうした問題への対策として、廃電子基板等を「有害廃棄物」に分類し、輸出を原則禁止とするものです。これにより、輸出国は国内での適正処理を徹底する必要が生じ、結果として、循環型社会の構築や、発展途上国における環境保護に貢献することが期待されます。
企業に求められる対応と責任
2021年1月より、廃棄物の輸出入に関する国際条約であるバーゼル法が改正され、プラスチックごみをはじめとする廃棄物の輸出規制が強化されました。この改正は、これまで以上に企業に対して、自社から発生する廃棄物に対する責任と適切な管理体制の構築を求めるものとなっています。
具体的には、企業は廃棄物の輸出前に、輸出先の国が輸入を許可しているか、また輸入先の処理施設が環境的に適正な処理を行えるかを確認する必要があります。また、輸出に関する書類作成や記録の保管など、コンプライアンス遵守のための業務増加も見込まれます。さらに、違反企業に対しては罰則が科されるなど、企業にとってその影響は多岐にわたります。
改正バーゼル法への対応は、企業にとって単なる法令遵守にとどまりません。廃棄物処理に関する透明性やトレーサビリティの確保は、企業の環境への取り組みを示す重要な指標となり、企業価値の向上やブランドイメージの向上にもつながります。企業は積極的にこの改正を機会と捉え、持続可能な社会の実現に向けて、廃棄物問題への取り組みを強化していく必要があるでしょう。
改正バーゼル法が目指す循環型社会
改正バーゼル法は、廃棄物輸出入の国際的なルールを定めたバーゼル条約の改正であり、2021年1月に施行されました。この改正は、特にプラスチックごみの輸出入を厳格化するもので、世界的に廃棄物問題への関心が高まる中、日本を含む多くの国がその対応に迫られています。
改正の大きな目的は、廃棄物の発生抑制と資源の循環利用を促進し、循環型社会を実現することにあります。これまで先進国から途上国へのプラスチックごみの輸出が問題視されてきましたが、改正によって汚染プラスチックの輸出は原則禁止となり、リサイクル可能なものも輸出先の同意や環境上適正な管理体制の確保などが義務付けられました。
この改正は、日本国内の廃棄物処理・リサイクルシステムの見直しを迫るとともに、企業には国内での資源循環を促進するためのイノベーションやビジネスモデルの転換が求められると言えるでしょう。