生態系を活用した気候変動対策とは？
地球環境を知りたい
先生、「生態系を活用した気候変動適応」って最近よく聞くんですけど、具体的にどういうものなんですか？
地球環境研究家
良い質問ですね！ 生態系を活用した気候変動適応は、略してEbAとも呼ばれます。簡単に言うと、自然の力を使って、気候変動の影響に備えようという考え方です。
地球環境を知りたい
自然の力を使う？ 例えば、どんなことですか？
地球環境研究家
例えば、マングローブ林を保全すると、高潮から海岸を守ることができます。 これはマングローブ林が自然に波の力を弱める防波堤の役割を果たしてくれるからです。このように、自然の生態系が持つ機能を活かして、気候変動の影響に適応しようとするのがEbAです。
生態系を活用した気候変動適応とは。
「生態系を活用した気候変動適応」とは、地球環境とエネルギー問題に関わる取り組みです。EbAと略されるこの言葉は、Ecosystem-based Adaptation や Ecosystem-based Approach for Climate Change Adaptationの頭文字をとったものです。2008年の気候変動枠組条約締約国会議で国際自然保護連合（IUCN）によって提唱され、翌2009年の生物多様性条約締約国会議にて、気候変動の悪影響への適応策として、生物多様性と生態系サービスを活用することを取り入れた戦略、と定義されました。
気候変動がもたらす影響
地球温暖化は、私たちの生活環境や生態系にさまざまな影響を及ぼしています。 気温上昇は、海面の上昇、異常気象の頻発化、氷河や永久凍土の融解などを引き起こし、私たちの生活に大きな影響を与える可能性があります。
また、気候変動は生物多様性にも影響を与えます。 気温や降水量、海水の温度変化は、動植物の生息地の変化や分布域の移動、繁殖時期の変化などを引き起こし、生態系のバランスを崩す可能性があります。これらの変化は、食料生産や水資源、人間の健康などにも影響を及ぼし、私たちの社会や経済にも大きな影響を与える可能性があります。
生態系を活用した気候変動適応（EbA）とは？
気候変動の影響は、気温上昇や海面上昇だけにとどまりません。異常気象の増加や水資源の不足など、私たちの暮らしにも様々な影響を及ぼします。こうした気候変動の影響に備え、被害を軽減するための対策が「適応」です。
生態系を活用した気候変動適応（EbA）とは、森林やサンゴ礁、湿地など、豊かな生態系を守る、あるいは再生することで、気候変動の影響を和らげ、人々の暮らしを守ることを言います。例えば、マングローブ林は高潮や津波の威力を弱める自然の防波堤としての役割を果たしますし、都市部の緑地はヒートアイランド現象による気温上昇を抑える効果があります。
EbAは、従来のインフラ整備中心の適応策と比べて、低コストで持続可能な解決策となる可能性を秘めています。さらに、生物多様性の保全や地域住民への経済的な利益など、多くの副次的効果も期待できます。
EbAが注目される理由
気候変動の影響が深刻化する中、自然の力を借りてその対策を行う「生態系を活用した気候変動対策(Ecosystem-based Adaptation EbA)」が注目されています。EbAは、森林や湿地、サンゴ礁など、様々な生態系が持つ多様な機能を活用することで、気候変動の悪影響を軽減し、人々への被害を最小限に抑えようという取り組みです。
EbAが注目される理由は、従来のインフラ整備中心の対策とは異なり、自然の力を利用することで、持続可能で、環境にも配慮した対策が可能になるからです。例えば、マングローブ林の再生は、津波や高潮による被害を軽減するだけでなく、海洋生物の住処となり、地域住民の漁業にも貢献します。また、都市部の緑化は、ヒートアイランド現象の緩和や、大雨時の雨水の流出抑制に効果を発揮します。
さらに、EbAは、地域住民の生活や文化、伝統的な知恵とも密接に関係しているため、地域社会の活性化や持続可能な開発にも貢献できる可能性を秘めています。世界中で気候変動の影響が深刻化する中、EbAは、自然と共存しながら気候変動に適応していくための、有効な手段として、今後ますます重要性を増していくと考えられています。
EbAの具体的な事例
生態系を活用した気候変動対策とは？
EbAの具体的な事例
EbA（Ecosystem-based Adaptation）は、その名の通り生態系の持つ多様な機能を活かして気候変動の影響に適応する取り組みです。 ここでは、世界で進むEbAの具体的な事例をいくつかご紹介します。
-1. マングローブ林の再生による海岸保護（バングラデシュ）-
サイクロンなどの高潮被害を受けやすいバングラデシュの沿岸部では、マングローブ林の再生による海岸保護が進められています。マングローブは波の力を弱める防波堤の役割を果たすとともに、豊かな生態系を育む役割も担っています。
-2. 緑地帯の整備による都市部のヒートアイランド現象の緩和（日本）-
都市部で気温が上昇するヒートアイランド現象への対策として、公園や街路樹など緑地帯の整備が進められています。植物は蒸散によって気温を下げる効果があり、緑地帯はヒートアイランド現象の緩和に貢献します。
-3. 持続可能な農業 practicesによる干ばつへの適応（サブサハラアフリカ）-
干ばつが深刻なサブサハラアフリカでは、土壌の保水力を高めるため、被覆作物の導入や不耕起栽培などの持続可能な農業 practices が取り入れられています。これらの practices は、干ばつによる農作物の被害を軽減すると同時に、土壌の炭素貯留能力を高める効果も期待されています。
これらの事例は、EbAが多様な地域で、それぞれの地域の課題に合わせた形で実践されていることを示しています。EbAは、気候変動への適応と同時に、生物多様性の保全や地域住民の生活向上にも貢献できる可能性を秘めています。
私たちにできること
気候変動という地球規模の課題に対し、私たち一人ひとりにもできることはたくさんあります。まずは、日々の暮らしの中で、エネルギーや資源を無駄遣いしない、環境に配慮した製品を選ぶなど、できることから始めてみましょう。さらに、地域社会やボランティア活動に参加し、生態系の保全活動に取り組むことも有効です。例えば、地域の清掃活動に参加したり、植樹活動に参加したりすることで、身近な自然を守ることにつながります。また、政治や企業に対しても、生態系保全を重視した政策や事業活動を求めることが重要です。私たち一人ひとりの行動が、気候変動の抑制に繋がり、持続可能な社会の実現に貢献していくのです。