地球環境を守るために ヘルシンキ議定書:酸性雨から地球を守る国際協調
1970年代後半、ヨーロッパや北米を中心に、酸性雨が深刻な環境問題としてクローズアップされました。酸性雨とは、石炭火力発電所や工場、自動車などから排出される硫黄酸化物や窒素酸化物が、大気中で化学変化を起こし、硫酸や硝酸となって降ってくる雨のことを指します。
酸性雨は、森林や湖沼、土壌、建造物などに深刻な影響を与えることが知られています。例えば、森林では、酸性雨が直接葉や枝に付着することで枯死したり、土壌が酸性化することで栄養分の吸収が阻害され、樹木の成長が阻害されたりするなどの被害が発生します。また、湖沼では、pHの低下により魚類や水生生物が死滅したり、生態系が大きく変化したりする可能性があります。
特に深刻なのは、酸性雨が国境を越えて広範囲に拡散する「長距離越境大気汚染」を引き起こす点です。ある国で排出された大気汚染物質が、風に乗って遠く離れた国に運ばれ、酸性雨となって降り注ぐことで、国境を越えた環境問題を引き起こす可能性があります。
このような状況を受け、1979年、国連欧州経済委員会(UNECE)は「長距離越境大気汚染条約」を採択し、国際的な協力体制の構築に乗り出しました。そして、この条約に基づき、1985年に採択されたのが「硫黄に関するヘルシンキ議定書」です。これは、国境を越えた大気汚染問題に国際社会が協力して取り組むための重要な一歩となりました。
