持続可能な開発

地球環境を守るために

リオ宣言:持続可能な未来への道筋

1992年、ブラジルのリオデジャネイロで開催された地球サミット(国連環境開発会議)は、地球環境問題の深刻化を背景に、持続可能な開発に向けた国際社会の取り組みを具体化する画期的な会議となりました。この会議で採択されたのが「リオ宣言」です。 地球環境と開発の問題を統合的に捉え、将来世代の利益を損なうことなく、現代世代のニーズを満たす「持続可能な開発」の概念を国際的に広く共有することを目的としています。 リオ宣言は、人間中心主義からの脱却を唱え、環境と開発は不可分であるという認識に基づいています。具体的には、貧困の撲滅、環境保護のための国際協力、汚染者負担の原則、環境問題への市民参加など、27の原則から成り、持続可能な開発を実現するための基本理念を包括的に示したことが画期的でした。 リオ宣言は、後の国際的な環境条約や政策に大きな影響を与え、持続可能な開発の概念を世界に広める上で重要な役割を果たしました。今日においても、地球規模課題の解決に向けた行動指針として、その意義は色褪せていません。
地球環境を守るために

計画アセスメント: 環境配慮の未来を描く

近年、開発と環境保全の両立が重要な課題となっています。 計画アセスメントは、開発計画の初期段階から環境への影響を予測・評価し、環境への負荷をできる限り低減するための取り組みです。これは、道路やダムなどの大規模な開発事業だけでなく、都市計画や地域開発など、幅広い計画に適用されます。 計画アセスメントの特徴は、環境保全の観点から計画の内容自体を検討し、より良いものへと改善していくプロセスと言えるでしょう。環境影響評価(環境アセスメント)が、個別の開発事業が環境に与える影響を評価するのに対し、計画アセスメントは、より広範囲な視点から環境との調和を図ることを目指しています。
SDGsと暮らし

ユネスコスクールがつくる、未来への学び

ユネスコスクールとは、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の理念を元に、質の高い教育を通して国際平和や持続可能な社会の実現を目指す学校のことです。1953年にユネスコが提唱した「ユネスコ協同学校計画」に加盟する学校を指し、世界182カ国、約11,500校が登録されています(2021年時点)。 日本では、幼稚園から大学院まで、約1,000校がユネスコスクールとして活動しています。各学校は、ユネスコの理念に基づいた教育活動を通して、子どもたちの「未来への鍵」となる知識やスキル、態度を育むことを目指しています。
地球環境を守るために

「アワスメント」でいいのか?環境アセスメントの現実

環境アセスメントという言葉は、近年よく耳にするようになりました。しかし、その言葉の響きから「何かをアバシにする」「軽く扱う」といったネガティブなイメージを持つ人も少なくありません。実際に環境アセスメントは「事業の影響を評価する」ものであり、「アワスメント」と揶揄されるように、本当に事業を推進するために都合の良い評価ばかりが行われているのでしょうか。ここでは、環境アセスメントの実態について詳しく見ていくことにしましょう。
地球環境を守るために

地球環境への責任:テサロニキ宣言とは?

1998年、ギリシャのテサロニキにおいて、EU環境大臣会議が開催されました。この会議は、地球環境問題への対応が喫緊の課題として認識される中で、EUとしての環境政策のあり方を議論するために開かれました。そして、この会議で採択されたのが「テサロニキ宣言」です。 テサロニキ宣言は、環境保護を経済成長の阻害要因と捉えるのではなく、持続可能な開発を実現するための必須条件と位置づけました。これは、経済活動と環境保全の両立を目指すという、EUの環境政策の基本理念を明確に示したものです。 宣言では、具体的に気候変動、生物多様性の減少、大気汚染、水資源の枯渇といった地球規模の環境問題への取り組みが謳われています。そして、これらの問題解決のために、EU加盟国が協力して具体的な政策を実行していくことを表明しました。
地球環境を守るために

アセス法で守る、地球の未来

アセスメントという言葉を知っていますか? 「評価する」「見積もる」といった意味を持つ言葉ですが、環境問題の文脈では「環境アセスメント」を指すことが多いです。 では、環境アセスメントとは一体何でしょうか? 簡単に言うと、開発事業などが環境に与える影響を事前に調査、予測、評価することを指します。 そして、この環境アセスメントの仕組みを定めた法律が「環境影響評価法」、通称「アセス法」なのです。
地球環境を守るために

生物多様性条約:地球を守るための約束

生物多様性条約は、1992年にリオデジャネイロで開催された地球サミットで採択された国際条約です。これは、地球上の多様な生物とその繋がりを守り、持続可能な形で利用していくための国際的な枠組みを定めています。 この条約は、生物多様性を3つのレベルで捉えています。まず1つ目は、生態系の多様性です。これは、森林、海洋、湿地など、様々なタイプの生態系が存在することを意味します。2つ目は、種多様性です。地球上には、動物、植物、微生物など、数え切れないほどの種が存在します。そして3つ目は、遺伝子の多様性です。同じ種の中でも、様々な遺伝子が存在することで、環境の変化に適応し、生き残っていくことができます。 生物多様性条約は、これらの3つのレベルの多様性を保全し、持続可能な形で利用していくことを目的としています。具体的には、生物多様性の保全、生物多様性の構成要素の持続可能な利用、遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分、という3つの大きな目標を掲げています。 生物多様性は、私たちの生活や経済活動にとっても不可欠なものです。食料、医薬品、木材など、多くの資源は生物多様性に支えられています。また、気候変動の緩和や自然災害の防止にも、生物多様性が重要な役割を果たしています。生物多様性条約は、これらの恵みを将来の世代に引き継いでいくために、国際社会が協力して取り組むための重要な枠組みとなっています。
地球環境を守るために

環境アセスメントの鍵! スコーピングを理解しよう

環境アセスメントを実施する上で、非常に重要なプロセスである「スコーピング」。これは、事業計画の内容を踏まえ、その事業が環境に与える影響について、どの様な項目について、どの範囲まで調査するのかを決定するプロセスを指します。 環境影響評価法では、このスコーピングを環境アセスメント手続きの初期段階に位置付けており、その後の調査や予測、評価を適切に行うために重要な役割を担っています。
サステナビリティのために

バイオエコノミー:未来への希望

世界は今、気候変動、資源枯渇、環境汚染など、地球規模の課題に直面しています。これらの課題は、私たちの社会や経済に深刻な影響を与える可能性があり、持続可能な未来を築くためには、根本的な解決策が求められています。 このような状況下で、バイオエコノミーは、地球規模の課題を解決する上で重要な役割を果たすと期待されています。バイオエコノミーとは、生物資源(バイオマス)を持続可能な方法で利用し、食品、飼料、エネルギー、材料などを生産する経済活動のことです。従来の石油化学ベースの経済とは異なり、バイオエコノミーは、再生可能な資源を活用することで、環境負荷を低減し、持続可能な社会を実現することができます。 例えば、バイオマスから作られるバイオプラスチックは、石油由来のプラスチックに比べて、環境負荷が低く、地球温暖化対策にも貢献します。また、バイオ燃料は、化石燃料に比べて、二酸化炭素排出量を削減できるため、気候変動対策に有効です。 バイオエコノミーは、地球規模の課題を解決するだけでなく、新たな産業の創出や雇用機会の拡大にも貢献すると期待されています。世界各国でバイオエコノミーへの取り組みが加速しており、日本でも、2019年に「バイオ戦略2019」が策定され、バイオエコノミーの実現に向けた取り組みが進められています。
地球環境を守るために

サンゴ礁を守れ!国際イニシアチブの挑戦

色鮮やかな魚たちの楽園であり、「海の熱帯林」とも呼ばれるサンゴ礁。しかし今、この美しい生態系が危機に瀕しています。地球温暖化による海水温の上昇は、サンゴに壊滅的なダメージを与え、白化現象を引き起こします。さらに、海洋汚染や乱獲、開発による沿岸部の破壊もサンゴ礁の脅威となっています。このままでは、豊かな生物多様性を誇るサンゴ礁は、近い将来、その姿を消してしまうかもしれません。
地球環境を守るために

リオプラス20:未来への選択

1992年、ブラジルのリオデジャネイロで地球サミットが開催され、地球環境と開発に関するリオ宣言や行動計画が採択されました。これは、持続可能な開発に向けた国際社会の大きな一歩となりました。それから20年後の2012年、再びリオデジャネイロで「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」が開催されました。これは、地球サミットの成果と課題を振り返り、新たな課題に対応した国際社会の決意を新たにするための重要な会議となりました。
サステナビリティのために

地球の未来を描いたブルントラント委員会:持続可能な開発への道

1980年代、世界は環境破壊、貧困、資源の枯渇といった深刻な問題に直面していました。これらの問題は、地球全体の将来を揺るがす深刻な危機として認識され始めます。こうした危機感のもと、1983年、国連はグロ・ハーレム・ブルントラント氏(当時ノルウェー首相)を委員長とする「環境と開発に関する世界委員会」、通称「ブルントラント委員会」を設置しました。 委員会の目的は、環境と開発の問題を相互に関連づけて捉え、将来世代のニーズを損なうことなく、現代のニーズを満たす開発の道を模索することでした。委員会は、世界各地で調査や公聴会を行い、環境問題と開発問題の双方に取り組む必要性を訴えました。
地球環境を守るために

2000年目標:熱帯木材と地球の未来

1983年に設立された国際熱帯木材機関(ITTO)は、熱帯木材の持続可能な管理、保全、貿易を促進するために設立されました。 この機関の中心的な目標として、2000年までにすべての国際取引される熱帯木材を、持続可能な資源から得るという目標が掲げられました。これが「2000年目標」です。 熱帯雨林の減少に歯止めをかけ、生物多様性を守るために、国際社会全体でこの目標達成に向けて努力しました。
地球環境を守るために

ISO14001とは? 環境経営の基礎知識

高度経済成長期、大量生産・大量消費は経済発展の原動力とされましたが、同時に、地球環境への負荷が深刻化しました。 環境問題への意識の高まりを受け、企業は経済活動と環境保全の両立を求められるようになりました。このような背景から、環境マネジメントシステムの国際標準規格であるISO14001が誕生しました。1996年に発行されたISO14001は、環境問題に対する国際的な枠組みを提供し、企業が環境への影響を低減するためのシステム構築を支援することを目的としています。
SDGsと暮らし

私たちの手でつくる未来:ローカルアジェンダ21のススメ

「ローカルアジェンダ21」。もしかしたら、初めて耳にする方もいるかもしれません。これは、1992年にリオデジャネイロで開催された地球サミットで採択された「アジェンダ21」という国際的な行動計画を、それぞれの地域の実情に合わせて実践していくための計画のことです。 「アジェンダ21」が地球全体の環境問題や開発問題解決のための指針だとすると、「ローカルアジェンダ21」は、私たち一人ひとりが、住んでいる地域で、未来のためにできることを考え、行動していくための具体的な指針と言えるでしょう。
サステナビリティのために

グリーンディール:未来への投資

グリーンディールとは、地球温暖化対策を経済成長のチャンスと捉え、環境と経済の両立を目指す取り組みです。具体的には、再生可能エネルギーの導入促進、省エネルギー化、環境技術の開発などを推進することで、温室効果ガスの排出削減と経済成長の両方を達成することを目指します。 グリーンディールは、単なる環境政策ではなく、経済や社会全体の変革を目指す壮大な計画です。地球温暖化による気候変動は、私たちの生活や経済活動に深刻な影響を与える可能性があります。グリーンディールは、こうした危機を回避し、持続可能な社会を構築するために、積極的に取り組むべき課題と言えるでしょう。
地球環境を守るために

地球を救う?世界資源研究所の取り組み

世界資源研究所(WRI)は、地球規模の課題解決に取り組む、世界的に有名なシンクタンクです。環境問題から経済発展まで、多岐にわたる分野の専門家が集まり、持続可能な社会の実現を目指して日々研究活動を行っています。WRIの特徴は、研究成果を政策提言や企業との連携など、具体的な行動に移すことを重視している点です。世界中の政府や企業、NGOと協力し、地球の未来に向けた取り組みを推進しています。
地球温暖化について

地球の未来を左右するスターンレビュー:経済効果から読み解く

地球温暖化は、もはや単なる環境問題として片付けられるものではありません。私たちの生活、経済、そして地球全体の未来を揺るがす深刻な脅威となっています。このような状況の中、2006年に発表された「スターンレビュー」は、気候変動問題に対する世界の見方を大きく変えることとなりました。イギリス政府からの依頼を受け、経済学者のニコラス・スターン卿が中心となって作成されたこの報告書は、気候変動がもたらす経済的な影響を詳細に分析し、世界中に衝撃を与えたのです。
地球環境を守るために

世界森林資源評価:地球の現状を知る

世界森林資源評価とは、地球全体の森林の状態を把握するための包括的な評価です。国連食糧農業機関(FAO)が中心となり、5 年ごとに実施しています。世界中の国々からデータを集め、森林面積の推移、森林の健全性、生物多様性、森林がもたらす様々な恵みなどを分析します。この評価は、森林に関する政策決定や国際的な取り組みの基礎資料として活用され、持続可能な森林経営や地球環境の保全に貢献しています。
地球環境を守るために

未来への責任:シドニー宣言と私たち

2022年12月、オーストラリアのシドニーで開かれた国際会議において、未来の世代に対する責任について議論が交わされました。その会議の成果としてまとめられ、採択されたのが「シドニー宣言」です。これは、気候変動や資源の枯渇、貧困や格差の拡大など、現代社会が直面する様々な課題を、未来の世代に先送りすることなく、今を生きる私たちの世代で解決していくことを強く訴えるものです。 シドニー宣言は、単なる理念や理想を表明したものではありません。具体的な行動指針として、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた取り組みの強化、国際協力の推進、そして何よりも、未来世代の声を政策決定プロセスに反映することの重要性を謳っています。これは、私たち一人ひとりが、未来への責任を自覚し、行動を起こしていくことの必要性を訴えかけていると言えるでしょう。
SDGsと暮らし

幸せを測る「国民総幸福量」: 持続可能な社会への道

私たちはこれまで、経済的な豊かさを追い求めることが、より良い生活、つまり「幸せ」につながると信じてきました。しかし、経済成長は本当に私たちを幸せにしているのでしょうか?物質的な豊かさが増しても、心の豊かさが置き去りにされてはいないでしょうか? このような疑問から生まれたのが、「国民総幸福量(GNH Gross National Happiness)」という概念です。 国民総幸福量は、経済的な指標だけでなく、心の豊かさ、健康、教育、文化、環境など、人間にとって本当に大切な要素を総合的に評価しようとするものです。従来の経済指標では測ることのできなかった「幸せ」を、多角的な視点から捉え直そうという画期的な試みと言えるでしょう。
サステナビリティのために

企業の環境方針を読み解く

環境方針とは、企業が環境問題に対してどのように取り組み、どのような行動をとるのかを示した指針です。 自社の事業活動が環境に与える影響を認識し、環境保全に関する基本的な考え方や行動指針を明確化することで、企業は責任ある事業活動を推進していきます。 環境方針は、単なる宣言ではなく、具体的な目標設定や行動計画、そして定期的な見直しといったプロセスを経て、企業の持続可能な発展を実現するための羅針盤としての役割を担います。
地球環境を守るために

地球の未来を変える:持続可能性パネルの提言

地球温暖化、資源の枯渇、生物多様性の損失。私たち人類は、かつてない規模の地球規模課題に直面しています。これらの問題は、互いに複雑に関連し合い、私たちの社会、経済、そして地球全体の将来を脅かしています。このまま問題を放置すれば、取り返しのつかない深刻な事態に陥る可能性も否定できません。 こうした危機感から、世界中の専門家が集結し、「持続可能性パネル」が設置されました。パネルは、地球規模課題の現状を科学的に分析し、持続可能な社会を実現するための具体的な道筋を示すことを目的としています。世界が協力し、早急かつ具体的な行動を起こすことが、地球の未来を変えるために不可欠なのです。
地球環境を守るために

ポロノロエステ事件:開発と環境の調和とは?

1960年代後半、ブラジルの広大なアマゾン地域で、開発と環境保全の矛盾を浮き彫りにする痛ましい事件が発生しました。それが、ポロノロエステ事件です。これは、政府主導の開発計画によって、熱帯雨林の破壊や先住民への深刻な健康被害が生じた、世界でも類を見ない環境破壊と人権侵害の事例として知られています。 この事件は、経済成長を優先した開発が、環境や人々の暮らしに壊滅的な影響を与える可能性を示唆しており、持続可能な開発の重要性を世界に問いかけるものとなりました。本稿では、ポロノロエステ事件の概要とその影響、そして私たちがそこから学ぶべき教訓について探っていきます。
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