持続可能な未来へ:トビリシ会議の教訓
地球環境を知りたい
先生、「トビリシ会議」って、どんな会議だったんですか?
地球環境研究家
良い質問ですね!1977年に旧ソ連のトビリシという都市で開かれた、環境教育に関する国際会議のことだよ。66カ国も参加した、とても大きな会議だったんだ。
地球環境を知りたい
環境教育について話し合ったんですね。具体的にどんなことを決めたんですか?
地球環境研究家
環境問題の深刻さを世界に広め、人々の意識を高めるために、環境教育を推進していくことを宣言したんだ。そのために、学校教育だけでなく、社会全体で環境教育を進めていく必要があることを確認したんだよ。
トビリシ会議とは。
1977年10月、旧ソ連のグルジア共和国の首都トビリシにて、「トビリシ会議」と呼ばれる環境教育に関する政府間会議が開催されました。これは地球環境とエネルギーをテーマに、66ヶ国から代表者が参加しました。主催は国連教育科学文化機関(UNESCO)で、国連環境計画(UNEP)が協力しました。
トビリシ会議とは:背景と目的
1977年、ソビエト連邦(現ジョージア)のトビリシにて、「環境教育に関する政府間会議」が開催されました。これが後に「トビリシ会議」と呼ばれる、環境教育の歴史における重要な一歩となりました。
当時の世界は、高度経済成長による環境破壊や資源の枯渇が深刻化し始めていました。こうした状況を受け、将来を担う世代へ環境問題の深刻さを伝え、問題解決に主体的に取り組むことができる人材を育成することが急務となっていました。
トビリシ会議は、環境問題に対する意識を高め、環境保全活動への参加を促すための教育の必要性を国際社会に強く訴えかけました。そして、環境教育の普及と推進に向けた具体的な目標や活動指針をまとめた「トビリシ宣言」を採択し、環境教育の新たな時代の幕開けを告げました。
環境教育の必要性:新たな視点の提唱
1977年に開催されたトビリシ会議は、環境問題と教育の関係性を深く掘り下げ、環境教育の重要性を国際社会に広く認識させました。それから40年以上が経過した現在、地球温暖化をはじめとする環境問題は、より深刻化し、複雑化しています。
現代社会においては、環境問題を「他人事」として捉えるのではなく、自らの問題として捉え、積極的に行動を起こしていくことが重要です。そのためには、環境問題に関する知識や理解を深めるとともに、環境問題に対して主体的に行動を起こしていく意欲や態度を育む環境教育が不可欠です。
トビリシ会議で提唱された環境教育は、自然環境や環境問題に関する知識を一方的に教える「環境教育「について」」ではなく、学習者が自ら考え、行動し、そして社会に参画していく力を育む「環境教育「のための」」という視点を重視しています。
環境問題が多様化・複雑化する現代において、この視点はますます重要性を増しています。知識の習得だけでなく、批判的思考力、問題解決能力、コミュニケーション能力などを総合的に育み、持続可能な社会の実現に向けて主体的に行動できる「チェンジメーカー」を育成することが、これからの環境教育に求められていると言えるでしょう。
トビリシ宣言:採択された主要原則
1977年、旧ソ連(現ジョージア)のトビリシで開催されたユネスコと国連環境計画(UNEP)共催の政府間会議は、環境教育の歴史において極めて重要な一歩となりました。この会議は、環境問題に対する認識を高め、持続可能な社会を構築するための教育の役割を明確化することを目的としていました。
会議の成果の一つとして採択されたのが「トビリシ宣言」です。この宣言は、環境教育の基本理念、目標、行動指針を明確に示し、その後の環境教育の発展に多大な影響を与えました。
トビリシ宣言は、環境教育が知識の習得だけでなく、価値観の形成、行動の変容を促すものであることを強調しています。また、環境問題の複雑性、緊急性を踏まえ、あらゆる年齢層、あらゆる場において環境教育を推進することの重要性を訴えています。
会議後の影響:国際社会への広がり
1977年に開催されたトビリシ会議は、環境教育の概念を確立し、その後の発展に多大な影響を与えました。会議で採択された「トビリシ宣言」は、環境問題に対する意識を高め、行動を起こすための教育の重要性を世界に示しました。
会議の影響は、参加国に留まらず、国際機関やNGOなどの活動を通して、世界各地へと波及しました。
ユネスコやUNEP(国連環境計画)は、トビリシ宣言の精神に基づき、環境教育に関する国際的なプログラムやプロジェクトを推進しました。
これらの取り組みは、各国政府の環境政策や教育機関のカリキュラムにも影響を与え、環境教育の普及と発展に貢献しました。
さらに、トビリシ会議は、持続可能な開発のための教育(ESD)の概念が生まれる土壌を築きました。ESDは、環境、社会、経済の統合的な視点から、持続可能な社会の実現を目指す教育であり、トビリシ会議の理念を継承し、発展させたものと言えるでしょう。
現代社会における課題とトビリシ会議の意義
現代社会は、地球温暖化、環境汚染、資源枯渇、貧困、紛争など、複雑に絡み合った課題に直面しています。これらの課題は、一国だけで解決できるものではなく、国際社会全体で協力し、持続可能な社会を実現するための取り組みを加速させることが求められています。
1977年に開催されたトビリシ会議は、環境教育の重要性を国際社会に広く認識させ、持続可能な社会の実現に向けて大きな一歩を踏み出した会議として歴史に名を刻んでいます。この会議で採択された「トビリシ宣言」は、環境問題に対する意識改革、知識・技能の習得、行動への参加を促す環境教育の役割を明確化し、その後の環境教育の発展に多大な影響を与えてきました。
トビリシ会議から40年以上が経過した現代においても、会議で示された理念や原則は色褪せることなく、持続可能な社会を実現するための重要な指針となっています。環境問題がますます深刻化する今日、私たち一人ひとりがトビリシ会議の教訓を胸に、持続可能な社会の実現に向けて積極的に行動していくことが重要です。