地球環境と開発：東京宣言の遺産

地球環境と開発：東京宣言の遺産

地球環境賢人会議と東京宣言誕生の背景

1980年代後半、世界各地で異常気象や環境破壊が深刻化し、国際社会は地球全体の危機に直面していました。こうした状況を受け、地球環境問題に対する国際的な取り組みの必要性が叫ばれるようになりました。 1989年、日本政府は、地球環境問題に関する国際会議である「地球環境賢人会議」を東京で開催しました。この会議には、世界各国から著名な科学者、政治家、有識者が集まり、地球環境問題の解決に向けた活発な議論が行われました。 「地球環境賢人会議」での議論の結果として、地球環境と開発に関する「東京宣言」が採択されました。これは、環境保全と開発を両立させる「持続可能な開発」の概念を国際社会に提示した画期的な宣言であり、後の地球サミットなど、国際的な環境政策に大きな影響を与えました。

持続可能な開発のための資金調達の必要性

1992年、リオデジャネイロで開催された地球サミットは、環境と開発に関する歴史的な転換点となりました。そこで採択された「環境と開発に関するリオ宣言」（リオ宣言）は、持続可能な開発の概念を国際社会に広く浸透させました。とりわけ、開発途上国における環境保全と経済発展の両立が重要な課題として認識され、先進国は資金、技術、人材育成などの面で積極的に協力していくことが求められました。

リオ宣言の精神を引き継ぎ、具体的な行動計画を策定するために、1997年には「環境と開発に関する特別セッション」（リオ+5）が開催されました。この会議は、日本の東京で開催されたことから「地球環境と開発に関する東京宣言」（東京宣言）が採択され、持続可能な開発に向けた国際社会の決意が改めて表明されました。

東京宣言では、特に資金調達の重要性が強調されました。開発途上国が環境保全と経済発展を両立させるためには、先進国からの資金援助や技術協力が不可欠です。具体的には、ODA（政府開発援助）の増額や、環境分野への投資促進などが求められています。

持続可能な開発は、私たち人類共通の目標です。東京宣言の採択から四半世紀が経過した今こそ、国際社会が一丸となって、資金調達を含む具体的な行動を起こしていく必要があるでしょう。

先進国と途上国の協調の重要性

地球規模で進行する環境問題の解決には、先進国と途上国の協調が不可欠です。1992年の地球サミットで採択された東京宣言は、その重要性を国際社会に強く訴えかけました。特に、開発途上国における環境保全は、先進国からの技術・資金援助や、公平な貿易条件の整備など、国際社会全体からの支援なしには実現困難です。一方、先進国も、地球環境問題の解決には途上国の積極的な参加が必要不可欠であることを認識しなければなりません。先進国は、過去の経済活動を通じて環境に負荷をかけてきたという責任を負っており、途上国への支援は義務とも言えます。東京宣言の採択から30年以上が経過した現在も、その精神は国際社会に受け継がれ、持続可能な開発目標（SDGs）などを通じて具現化されています。地球環境問題の解決に向け、先進国と途上国が真のパートナーシップを築き、共通の課題に共に取り組んでいくことが求められています。

東京宣言の成果と課題

1992年、リオデジャネイロで開催された地球サミットは、環境と開発に関する国際的な議論の大きな転換点となりました。このサミットで採択された「環境と開発に関するリオ宣言」（通称リオ宣言）は、持続可能な開発の概念を国際社会に広く普及させ、その後の環境政策や国際協力の枠組みに多大な影響を与えました。とりわけ、開発途上国における貧困撲滅と環境保護の両立を明確に打ち出したことは、その後の国際的な開発目標にも継承され、重要な役割を果たしてきました。

しかし、リオ宣言から30年以上が経過した現在、その成果と課題を改めて検証する必要があります。地球温暖化をはじめとする環境問題は深刻化の一途をたどり、開発途上国における貧困や格差の問題も依然として解決には至っていません。さらに、近年では、新型コロナウイルスのパンデミックや地政学的なリスクの高まりなど、新たな課題も浮上しています。

このような状況を踏まえ、私たちは、リオ宣言の精神を受け継ぎつつ、変化する世界に柔軟に対応しながら、持続可能な社会の実現に向けて、国際社会が協調して行動していくことが求められています。具体的には、気候変動対策、生物多様性の保全、資源の持続可能な利用、循環型経済への移行など、多岐にわたる分野において、具体的な行動計画を策定し、実行していく必要があります。

リオ宣言は、私たち人類が直面する地球規模の課題を克服し、持続可能な未来を創造するための重要な道標です。その理念を継承し、具体的な行動に移していくことが、今、私たちに求められています。

現代における東京宣言の意義

1992年、リオデジャネイロで開催された地球サミット（国連環境開発会議）は、環境と開発の両立を目指し、国際社会が協調して取り組むべき指針となる「リオ宣言」と行動計画「アジェンダ21」を採択しました。この会議には、日本のNGOも積極的に参加し、その活動の拠点となったのが東京・青山で開催された「グローバル・フォーラム」です。そして、このフォーラムから生まれたのが「地球環境と開発に関する東京宣言（東京宣言）」です。

東京宣言は、地球環境問題の原因が人間活動にあることを明確に示し、環境保全と開発の両立、そして持続可能な社会の実現のために、先進国と途上国、政府・企業・市民社会など、あらゆる主体が責任と役割を分担し、協力していくことの重要性を訴えました。特に、市民社会の役割を重視し、政府や企業に対する積極的な政策提言や監視活動、そしてライフスタイルの見直しなど、市民一人ひとりの行動変容を促す内容は、当時の環境NGOの理念を色濃く反映したものでした。

2030年を期限とするSDGsが採択され、気候変動問題への対応が喫緊の課題となる中、多様な主体による協働と具体的な行動を求める東京宣言のメッセージは、現代においても色褪せることなく、むしろその重要性を増しています。特に、地球規模の課題解決には、政府や国際機関だけでなく、企業やNGO、そして市民一人ひとりの積極的な参加が不可欠であるという考え方は、SDGsの理念とも共通しており、東京宣言は、現代社会における持続可能な開発の目標達成に向けた指針として、重要な意義を持ち続けています。