生物多様性保全:連携の12年と未来への教訓

生物多様性保全:連携の12年と未来への教訓

地球環境を知りたい

先生、「バイオダイバシティー・サポート・プログラム」って、生物多様性を守るための活動だってことはわかったんですけど、具体的にどんなことをしたんですか?

地球環境研究家

いい質問だね!「バイオダイバシティー・サポート・プログラム」は、世界各地で色々なプロジェクトを実施したんだ。例えば、絶滅危惧種の保護や、自然公園の管理、地域住民への環境教育など、多岐にわたるよ。

地球環境を知りたい

へえー、いろんな活動をしてたんですね!でも、なんでそんなにたくさんの機関が関わってたんですか?

地球環境研究家

それは、生物多様性の問題は、一つの国や機関だけで解決できるほど単純ではないからだよ。WWFのような自然保護団体だけでなく、USAIDのような政府機関、WRIのような研究機関などが協力することで、より効果的・効率的に活動できたんだ。

バイオダイバシティー・サポート・プログラムとは。

「バイオダイバシティー・サポート・プログラム」は、地球環境とエネルギー問題に取り組むため、世界の生物多様性保全を目的とした連携組織です。1989年から2001年にかけて、世界自然保護基金(WWF)、ネイチャー・コンサーバンシー(TNC)、世界資源研究所(WRI)が米国国際開発援助庁(USAID)の支援を受け、総額約8500万米ドルの事業費で様々な生物多様性保全プロジェクトを実施しました。これらのプロジェクトは、アフリカ・マダガスカル、アジア・太平洋、東ヨーロッパ、ラテンアメリカ・カリブ海諸国における地域別プログラムに加え、「解析・順応的管理(AAM)」と「生物多様性保全ネットワーク(BCN)」の2つの全体プログラムを合わせた、計6つのプログラムで構成されています。多くの関係者が参加し、分野横断的な協力体制を築くことで、生物多様性の保全と地域の社会経済的発展の両立を目指しました。さらに、より効果的な保全戦略を策定するために、順応的管理(アダプティブ・マネジメント)の手法も導入されました。

生物多様性サポートプログラム:その背景と目的

生物多様性サポートプログラム:その背景と目的

生物多様性の損失が地球規模で深刻化する中、国際社会は2010年に名古屋で生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)を開催しました。この会議では、生物多様性の損失を食い止め、2050年までに自然と共生する世界を実現するという共通目標のもと、「愛知目標」を含む「愛知ターゲット」が採択されました。

愛知目標の達成に向けた取り組みを支援するため、日本政府は2011年に「生物多様性日本基金」を設立し、その一環として「生物多様性サポートプログラム」が創設されました。このプログラムは、開発途上国における生物多様性保全活動に対して資金や技術的な支援を提供することで、愛知目標の達成に貢献することを目的としています。

具体的には、地域住民参加型の保全活動や、生物多様性の持続可能な利用を促進する事業などが支援対象となります。プログラムを通じて、開発途上国の生物多様性の保全と、人々の生活の向上を両立させることを目指しています。

6つのプログラム:地域から地球規模へ

6つのプログラム:地域から地球規模へ

生物多様性条約に基づき、過去12年間、世界中で6つのプログラムが展開されてきました。これらのプログラムは、森林、海洋、淡水、山岳地帯、農業、都市など、それぞれ異なる生態系を対象としています。地理的な広がりも、地域レベルから地球規模まで多岐にわたります。

重要なのは、いずれのプログラムも、単独の機関や組織だけで取り組むのではなく、多様なステークホルダーが連携して活動している点です。政府機関、国際機関、NGO、民間企業、先住民コミュニティ、研究機関などがそれぞれの専門性と経験を持ち寄り、共通の目標である生物多様性保全に向けて協働しています。

各プログラムは、それぞれの活動を通して、生物多様性保全に関する貴重な教訓を提供してきました。成功事例だけでなく、課題や教訓も共有することで、今後の生物多様性保全に向けた取り組みをより効果的かつ持続可能なものにすることが期待されています。

順応的管理:より良い保全戦略に向けて

順応的管理:より良い保全戦略に向けて

生物多様性の保全は、もはや一部の専門家や団体だけの課題ではありません。 地球全体の持続可能性を左右する重要な課題として、地域住民、企業、行政など、多様な主体による連携が不可欠です。 「順応的管理」は、こうした連携を基盤とし、変化への対応力が高い保全戦略として注目されています。 これは、まず試行的な保全活動を行い、その結果をモニタリングに基づいて評価し、必要があれば計画を修正しながら、より効果的な方法を模索していくという柔軟なアプローチです。

順応的管理は、不確実性が高い状況下でも、失敗から学び、改善を繰り返すことで、より確実な成果に繋がるという点で優れています。 特に、気候変動の影響が顕在化する中で、従来の予測に基づいた保全活動だけでは十分とは言えません。刻々と変化する状況を把握し、その変化に柔軟に対応できる順応的管理は、生物多様性保全において、今後ますます重要な役割を担っていくと考えられます。

社会経済発展との両立:持続可能な未来のために

社会経済発展との両立:持続可能な未来のために

生物多様性の損失は、もはや環境問題の枠を超え、経済、社会、そして私たちの生存基盤そのものを揺るがす喫緊の課題となっています。2011年から2020年までの「国連生物多様性の10年」を経て、私たちは生物多様性保全と社会経済発展をいかに両立させるか、その重要性を改めて認識しました。

持続可能な社会を実現するためには、自然資本である生物多様性を保全し、その恵みを将来世代に引き継いでいく必要があります。これは、企業にとっても、生物多様性からの恩恵があってこそ成り立つ事業活動の継続可能性を高め、新たな経済的価値を創造していく上でも不可欠です。

過去12年間の経験と教訓を活かし、今後は、地域社会、企業、政府、NGOなど、あらゆるセクターを巻き込んだ連携を強化していくことが重要です。生物多様性の価値を経済活動や政策決定に適切に反映させ、自然と共生する社会経済システムを構築することで、私たちは本当の意味での持続可能な未来を創造できると信じています。

12年間の成果と教訓:未来への継承

12年間の成果と教訓:未来への継承

2011年から2022年までの12年間は、国連生物多様性の10年にあたり、世界中で生物多様性保全の重要性が認識され、様々な取り組みが行われてきました。この12年間で、保護地域の設定や持続可能な利用の推進など、一定の成果が見られました。同時に、気候変動や人間活動の拡大による生物多様性への影響は深刻化しており、生物多様性損失を食い止めるには至らなかったという現実も突きつけられています。

私たちは、この12年間の経験から多くの教訓を得ることができました。まず、生物多様性保全には、政府、企業、市民社会など、あらゆる主体による連携が不可欠であるということです。また、科学的な知見に基づいた対策を推進するとともに、地域ごとの特性に合わせた柔軟な対応も求められます。

そして、何よりも重要なのは、次世代に豊かな生物多様性を引き継ぐための長期的な視点を持つことです。2023年からは、昆明・モントリオール生物多様性枠組の実施期間が始まります。これまでの教訓を活かし、自然と共生する社会の実現に向けて、新たな連携を築き、具体的な行動に移していく必要があります。

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